資金調達については、中小企業の経営者や個人事業主が常に頭を悩ますことだと思います。
資金調達には、銀行の融資・公庫の融資・助成金・補助金などいろいろな方法があります。
今回は、その一つの方法であるものづくり補助金について解説していきます!
ものづくり補助金の9次締切の申請が12月1日から始まります。
この記事を読んで、申請の参考にして下さい!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金とは・・・
中小企業・小規模事業者等が今後サービス改善や生産プロセス等の改善などの設備投資を支援する補助金です。
また、対人接触機会を減らすために導入する設備機械の導入についても、低感染リスク型ビジネス枠が設けられています。
一般型
中小企業者等が行う「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援。
補助金額 | 100万円~1,000万円 |
---|---|
補助率 | [通常枠] 1/2(小規模企業者・小規模事業者 2/3) [低感染リスク型ビジネス枠] 2/3 |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | [通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 [低感染リスク型ビジネス枠] 上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費 |
グローバル展開型
中小企業者等が海外事業の拡大・強化等を目的とした「革新的な製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援
(①海外直接投資、②海外市場開拓、③インバウンド市場開拓、④海外事業者との共同事業のいずれかに合致するもの)
補助金額 | 1,000万円~3,000万円 |
---|---|
補助率 | 1/2(小規模企業者・小規模事業者 2/3) |
設備投資 | 単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要 |
補助対象経費 | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費 |
9次募集 公募期間について
一般型・グローバル展開型
公募開始日 | 令和3年11月11日(木)17:00 |
---|---|
申請開始日 | 令和3年12月1日(水)17:00 |
申請締め切り日 | 令和4年2月8日(火)17:00 |
申請にあたって、事前にgBizIDプライムアカウントの取得が必要です。
申請に必要なgBbizIDを取得する
IT導入補助金の申請は全てオンラインで行う必要があります。そこで、申請の手続きを行うためには行政サービスに利用可能なgBbizIDプライムアカウントの利用が必須です。
このID一つでIT導入補助金の申請だけでなく様々な行政サービスにログインできるようになるため、申請予定の有無に関わらず取得することをおすすめします。
gBizIDプライムアカウントID発行までは2~3週間ほどかかるため、早めのアカウントの取得をお勧めします。
【必要書類】
法人の場合:印鑑証明書(法務局発行のもの)
個人事業主の場合:印鑑登録証明書(市区町村発行のもの)
補助要件
ものづくり補助金を申請するにあたっての要件は以下の通りです。
以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
・付加価値額 +3%以上/年
・給与支給総額 +1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金 +30円以上
※ 新型コロナウイルスの感染拡大が継続している状況に鑑み、補助事業実施年度の付加価値額及び賃金の引上げを求めず、目標値の達成年限の1年猶予を可能とします。
上記に加えて、低感染症リスク型ビジネス枠とグローバルビジネス枠の申請には更に要件があります。
低感染リスク型ビジネス枠
物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
例:AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御等の機能を有する製品開発(部品開発を含む)、オンラインビジネスへの転換等
物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
例:ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等
ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係る設備・システム投資
キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費になりません
グローバル展開型
説明していきます!
①類型:海外直接投資
国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること
具体的には・・・
国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること
もしくは
海外子会社(半数以上の発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る・一般管理費は含まない・事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定)もしくは貸与する機械装置・システム構築費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る)に充てられること
国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得(設備投資)すること。
応募申請時:海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料の提出
実績報告時:海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書の提出
②類型:海外市場開拓
国内に補助事業実施場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
応募申請時:具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書の提出
実績報告時:想定顧客による試作品等の性能評価報告書の提出
③類型:インバウンド市場開拓
国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
応募申請時:具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書の提出
実績報告時:プロトタイプの仮説検証の報告書の提出
④類型:海外事業者との共同事業
国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
応募申請時:共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)の提出
実績報告時:当該契約の進捗が分かる成果報告書の提出
参考▶ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(9次締切分)
7次までの採択結果
採択結果全体
1次締切から7次締切までの採択結果(全体)は、下記のとおりになります。
締切回 | 採択発表日 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 | |
---|---|---|---|---|---|
1次 | 令和2年4月28日 | 2,287 | 1,429 | 62.5% | |
2次 | 令和2年6月30日 | 5,721 | 3,267 | 57.1% | |
3次 | 令和2年9月25日 | 6,923 | 2,637 | 38.1% | |
4次 | 〔一般型〕 | 令和3年2月18日 | 10,041 | 3,132 | 31.2% |
〔グローバル展開型〕 | 271 | 46 | 17.0% | ||
5次 | 〔一般型〕 | 令和3年3月31日 | 5,139 | 2,291 | 44.6% |
〔グローバル展開型〕 | 160 | 46 | 28.8% | ||
6次 | 〔一般型〕 | 令和3年6月29日 | 4,875 | 2,326 | 47.7% |
〔グローバル展開型〕 | 105 | 36 | 34.3% | ||
7次 | 〔一般型〕 | 令和3年9月27日 | 5,414 | 2,729 | 50.4% |
〔グローバル展開型〕 | 93 | 39 | 41.9% |
応募者数は1次締切から増え続けており、4次締切では1万件を超えてピークとなりました。その後の応募者数は約5,000件前後で推移しています。
一方、採択率は1次締切では62.5%と高かったですが、応募者数の増加に従い採択率は低下して4次締切では31.5%になりました。その後は約45%前後で推移しています。
一般型の内訳結果(1次締め切り分~7次締め切り分)
次に、一般型の特別枠と通常枠の内訳について、下記表にまとめてみました。
締切回 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 | |
---|---|---|---|---|
1次 | 2,287 | 1,429 | 62.5% | |
2次 | 特別枠 | 3.321 | 1,773 | 68.1% |
特別枠申請→通常枠 | 488 | |||
通常枠 | 2,400 | 1,006 | 41.9% | |
3次 | 特別枠 | 4,560 | 1.076 | 47.1% |
特別枠申請→通常枠 | 1.072 | |||
通常枠 | 2,363 | 489 | 20.7% | |
4次 | 特別枠 | 7,103 | 1,748 | 36.7% |
特別枠申請→通常枠 | 856 | |||
通常枠 | 2,938 | 528 | 19.0% | |
5次 | 特別枠 | 2,400 | 963 | 49.6% |
特別枠申請→通常枠 | 227 | |||
通常枠 | 2,739 | 1,101 | 40.2% | |
6次 | 特別枠 | 2,485 | 1,195 | 52.1% |
特別枠申請→通常枠 | 99 | |||
通常枠 | 2,390 | 1,032 | 43.2% | |
7次 | 特別枠 | 2,602 | 1,191 | 56.2% |
特別枠申請→通常枠 | 272 | |||
通常枠 | 2,812 | 1,266 | 45.0% |
採択事例
以下、採択事例になります。参考にしてください!
製造業 | 株式会社オフロードセンター
新特別枠:自動車カスタム品の対応力強化および効率化と新製品展開に向けた生産体制構築 |
---|---|
小売業 | 福屋製パン株式会社
新特別枠:新たにおいしい減塩パンの開発・生産に取組み、販売手法の確立 |
宿泊業 | 株式会社小樽グリーンホテル
新特別枠:ビジネスホテルにおける非接触モデルの構築 「自動精算機との親和性の高い非接触カードキーシステムの導入」 |
情報通信 | アイスリー株式会社
通常枠:PO・DD検討企業用SaaS「はじめのIPO」の開発事業 |
不動産 | 株式会社フィンスター
新特別枠:リモート売買支援システムの構築による非対面型不動産取引の実現 |
採択の4つのポイント
ものづくり補助金を申請する際に押さえておきたい4つのポイントについて解説していきます!
1.技術力アピール
以下の4点で自社で革新的な事業を実現できる技術力をアピールしましょう。
- 取組内容の⾰新性
- 課題や⽬標の明確さ
- 課題の解決⽅法の優位性
- 技術的能⼒
単に自社での新規事業であるだけでは、ものづくり補助金事業に求められる革新的事業にはなりません。
他社でも一般的ではない新サービスや新生産方式が求められます。
少なくとも、同一商圏内で類似した商品の販売やサービスがない事業の展開を目指しましょう。
また、有効な経営⾰新計画の承認を取得した(または取得予定の)事業者は、革新的な技術力を持っているとして加点されます。
2.事業化の効果アピール
以下の4点で事業化計画の妥当性・効果をアピールしましょう。
- 事業実施体制
- 市場ニーズの有無
- 事業化までのスケジュールの妥当性
- 補助事業としての費⽤対効果
上記のポイントを分析するためには、自社・競合・市場の課題を明確にする必要があります。
ものづくり補助金の申請する際には、その機械装置を購入したい理由を、現状の自社・競合・市場の課題と結びつけて設定する必要があります。
「〇〇の金型を、もっと軽量に、もっと高い精度で加工できないか?」と取引先から依頼
→この課題の解決策として、新設備が必要
3.国の政策との一致アピール
以下の3点で国の政策と一致していることをアピールしましょう。
- 地域経済への波及効果
- ニッチトップとなる潜在性
- 環境配慮性
具体的には、以下のような加点・減点措置があります。
ルーキー・小規模事業者の優遇
過去3年以内に類似の補助金(ものづくり・商業・サービス補助金)を交付された事業者は審査にて減点措置を講じられ、初めて補助金申請される方が採択されやすくなっています。
また、⼩規模事業者、または創業・第⼆創業後5年以内の事業者には加点措置があります。
賃上げ・働き方改革の加点・優遇
賃上げ:
以下の2点を両方宣言している事業者には加点措置があります。
- 給与⽀給総額を年率平均2(または3)%以上増加させる
- 事業場内最低賃⾦を地域別最低賃⾦+60円(または+90円)以上の⽔準にする
働き方改革:
被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が、制度改革に先立ち任意適用して、短時間労働者を厚生年金に加入させる場合は、給与⽀給総額の伸びが年率平均1%以上増加でもよいという優遇措置があります。
災害等対策加点
以下の3つの災害等対策において優遇措置が取られることが確認されています。
- 令和元年度台⾵15号及び台⾵19号等の被災事業者(激甚災害指定地域に所在する者に限る)
- 事業継続⼒強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者
- 新型感染症の影響を受けて、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資等に取り組む事業者
4.熱意と意気込みアピール
熱意や意気込みを電子書類上で示します。
事業の価値を分かりやすく&熱く語れるようにストーリー作りを綿密に設計しましょう。
2020年以降のものづくり補助金の申請では、すべて電子ファイルで申請・審査が行われます。(まれに、必要に応じてヒアリングが行われる場合もあります。)
2020年より、申請添付書類が大幅に削減され、最⼤16点(必須6点)だった申請書類が、最⼤8点(必須3点)となりました。
それほど重要でない書類の提出が減ったため、申請の手間が軽減されましたが、アピールのために用いられる書類も減ったということになります。
電子書類上でしっかりアピールを行いましょう。
最後に
ものづくり補助金の申請要件や採択されるためのポイントを解説してきました。
ものづくり補助金を貰い、事業の発展に役立てましょう。
以前の締め切り分で不採択になった申請も再度申請することができます。
この機会に再挑戦してみてもいいでしょう!
せっかく申請するなら、補助金・助成金を受け取りたいですよね!
しかし、申請には要件を確認や事業計画を策定、必要書類を揃えたりと
面倒なことや手間がかかることも多く、不安を感じる方も多いと思います。
そんなときは、諦める前にご相談下さい!
最後までお読みいただきありがとうございました!