『雇用調整助成金』の特例措置は2022年に縮小へ
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、
売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、
支払った休業手当などの一部を助成する
「雇用調整助成金」という助成金があります。
その特例措置について、厚生労働省は2022年1月以降の運用内容を公表しました。
今回は、
「雇用調整助成金の特例措置」(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)と、
企業が助成を受ける際の助成率引上げにも関係する「まん延防止等重点措置」
について紹介します。
「まん延防止等重点措置」について
「まん延防止等重点措置」は、
新型コロナウイルスに係る特別措置法の改正によって
2021年2月に新たに設けられたものです。
感染症が急増している局面で、
「緊急事態宣言を出す状況に至らないよう、予防的に地域を限定して集中的な対策を可能にするための措置」
です。
【都道府県単位で発令される緊急事態宣言との大きな違い】
対象となる都道府県の知事が、まん延防止等重点措置地域を「市町村など特定の地域に限定して指定することができる」という点です。
また、緊急事態宣言の発令に必要な感染状況が「ステージ4」に相当するかどうかであるのに対し、
まん延防止等重点措置の指定については感染が局地的、急速に広がっている地域の場合には「ステージ2」での適用も可能です。
そのため、各都道府県にとっては、地域の感染拡大防止に向け、より機動的に管轄地域の感染防止対策に介入することができるというメリットがあります。
重点措置地域における都道府県の対応
緊急事態宣言の発令地域では
都道府県知事の判断で休業の要請も可能でしたが、
「まん延防止等重点措置」では営業時間短縮の要請や命令は出来るものの
休業の要請までは行えません。
ただし、時短の要請に応じない場合や、
立ち入り検査に応じない場合は緊急事態宣言と同様に、
過料や事業者名の公表など厳しい措置が行われます。
そのため、経営者にとっては大きな負担となるのは間違いありません。
【まん延防止等重点措置によって可能になる自治体の取組み】
・事業所への立ち入り検査
・従業員への検査受診の勧奨
・入場者の整理
・発熱などの症状がある人の入場禁止
・入場者への感染防止のための措置の周知と行わない人の入場禁止
『雇用調整助成金』の特例措置とは?
雇用調整助成金は、
景気変動などによって事業活動の縮小を余儀なくされた
事業主が従業員を休業させる際に支払う休業手当などの一部を助成する制度です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
「助成率」および「上限額」を引き上げる特例措置が運用されてきました。
厚生労働省は、
雇用調整助成金および休業支援金の特例措置内容を
来年2022年3月末まで継続するが、2022年1月から段階的に縮小すると発表しました。
(具体的には、1人当たりの助成上限日額の縮小など)
なお、新型コロナウイルスの影響で売上が大幅に減少している企業には、
現行の特例措置が2022年3月末まで継続されます。
今回は、特例措置が現行の内容からどのように縮小されるのかを見ていきましょう。
『雇用調整助成金』の特例措置 の概要
まず、雇用調整助成金において
①原則的な措置と②特例措置「地域特例」「業状特例」があると思ってください。
「助成率」や「上限額が」
①原則的な措置:2022年1月から段階的に縮小 ※下の図の水色枠の赤字が該当
②特例措置「地域特例」「業状特例」:現行の内容を維持 ※太い黒枠が該当
となっております。
出典:令和4年3月までの雇用調整助成金の特例措置等について(予定)(R3.12.10一部改正)
※こちらの別のPDFの表も、内容は同じことを言っています!
対象事業者
新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、
以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(※注)
※注 比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
さらに今回の雇用調整助成金の特例措置では、
(1)「地域特例」・・・
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域で時短営業などに協力している事業主を対象
(2)「業況特例」・・・
直近3か月の平均売上がコロナ前と比べて30%以上減少した事業主を対象
が設けられています。
これらはいずれも、現行の内容が来年1月も維持されることとなりました。
休業助成の対象となる労働者
・事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが「雇用調整助成金」の助成対象です。
・学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、『緊急雇用安定助成金』の助成対象となります。(雇用調整助成金と同様に申請できます)
通常の雇用調整助成金(特例ではないもの)は
雇用保険被保険者の休業のみが助成対象ですが、
特例措置では非正規労働者まで対象を拡大するため
『緊急雇用安定助成金』という名称の申請区分を設置し、受付を行っています。
※助成内容は同様ですが申請様式などは別のものとなります。
■正規雇用者の申請(雇用保険非保険者の申請)
⇒雇用調整助成金として申請
■非正規雇用者の申請(雇用保険非保険者以外の申請)
⇒緊急雇用安定助成金として申請
事業規模ごとの助成率
まず最初に、下の図の表の水色になっている枠の部分をご覧ください。
【助成率】解雇などを行っていない企業が従業員を休業させたり教育訓練をしたりする場合の助成率は中小企業が9/10、大企業は3/4。
解雇などを行っている企業の助成率は中小企業が4/5、大企業が2/3。
※来年1月も助成率は維持される予定です。
【助成上限額】中小企業、大企業への助成上限額は、2021年12月末まで1人1日当たり1万3500円、来年1月・2月は1万1000円、3月は9000円に減額となります。
次に、表の黒い太枠で囲われた部分をご覧ください。
特例措置である「地域特例」「業状特例」の対象となる事業主には、
・解雇せず雇用を維持した場合:助成率は中小企業、大企業ともに100%
・解雇を行っている場合:助成率は中小企業、大企業ともに4/5
1人1日当たりの助成上限額は1万5000円一律となります。
教育訓練などを行う場合の助成上限の加算
助成金額は上限額の範囲内で職場の平均賃金を基準に算出されます。
【支給額の計算式】
助成額=平均賃金額×休業手当等の支払い率×下記の助成率
【例外:小規模事業主の場合の計算式】
助成額=実際に支払った休業手当×下記の助成率ここに
雇用調整助成金の緊急対応期間
令和2年4月1日から令和4年3月末まで
※現在の助成内容は令和3年12月末まで継続し、1月から段階的に縮小予定
申請方法
労使協定の締結と従業員の休業を実施し、
事後的に申請を行うことで助成を受けることが可能です。
補助金などの競争融資とは異なるため、
要件を満たしている全ての事業主が受給することができます。
申請は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワーク
または、以下のオンライン受付システムで行います。
郵送での申請も受け付けています。
支給までの流れ
出典:厚生労働省公式HP 雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
各自治体の上乗せ情報
1、2つ目の地区は12月28日まで間にいます!
1.《南魚沼市》南魚沼市雇用維持給付金
募集期間:2021年5月7日から2021年12月28日まで
目的:新型コロナウィルス感染症拡大に起因する国の雇用調整補助金を受けた市内事業者に対し、一律5万円を支給する南魚沼市が支援する給付金です。
支給内容:▼給付金額 5万円(1事業者1回)
対象内容の詳細:新型コロナウィルス感染症の影響により国の雇用調整助成金を受けた市内の事業者
お問い合わせ:商工観光課 TEL: 773-6665
※2021年12月14日現在
2.《山形県小国町》雇用調整助成金申請代行補助事業費補助金
募集期間:2021年12月3日から2021年12月28日まで
目的:小国町では、町内事業者のみなさまが雇用する労働者の失業の予防と、雇用の安定を図る目的から、雇用調整助成金の支給を受けるための手続きを支援するため、社会保険労務士等による代行申請を行った事業者に対し補助金を交付します。
支給内容:▼補助率 10/10
▼補助金額 上限40万円(補助事業者に対する1回あたりの上限額)
対象内容の詳細:町内に事業者又は店舗を有する中小企業で、町税の全てを完納している方
お問い合わせ:産業振興課 商工労政担当 TEL:0238-62-2416 FAX:0238-62-5464
※2021年12月14日現在
3.《岐阜県 各務原市》休業に係る各務原市緊急雇用維持助成金
募集期間:雇用調整助成金の支給決定を受けた日の翌日から90日後
目的:新型コロナウィルス感染症の影響に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員に一時的な休業または出向を行い、雇用維持を図った場合、国の雇用調整助成金に上乗せする形で、各務原市から助成金を支給して、事業活動の継続を支援します。
支給内容:▼賃金の1/10と1,500円のいずれか低い額を上乗せ
・解雇等を伴う休業を行った場合、国の助成額に、平均(基準)賃金の1/10と1,500円のいずれか低い額を上乗せします(ただし、国の助成額と合わせて13,500円が上限)
・対象期間を、国の緊急対応期間延長に合わせて、9月末までに延長します。
※国の雇用調整補助金の制度拡充に伴い、その助成内容を変更しました(令和2年6月12日変更)
対象内容の詳細:各務原市内に事業所を有する法人または個人で、次に掲げるいずれにも該当する者。
・中小企業基本法、(昭和38年法律第154号)第2条第1項のいずれにも該当する者。
・各務原市内で、現に事業活動を行っている者。
・雇用調整助成金または緊急雇用安定補助金(※注)の支給決定を受け、それらの助成率が4/5である者。
・各務原市税を滞納していない者。
(※注)新型コロナウィルス感染症の影響に伴う休業であって、緊急対応期間(令和2年4月1日から令和3年4月30日まで)の休業に係るものに限ります。
お問い合わせ:企業人材全力応援室 TEL:058-383-7236
※2021年12月14日現在
まとめ
今回は
「雇用調整助成金の特例措置(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」と、
企業が助成を受ける際の助成率引上げにも関係する「まん延防止等重点措置」
についてご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症は経済に大きな影響を与えています。
本日、東京都内でも初めてオミクロン株の感染者が確認されました(※12月22日時点)
政府はワクチン接種を実施するとともに、
飲食を通した感染の防止や、新型コロナ変異株の監視体制の強化など、
感染の拡大防止に全力を挙げる方針です。
経済面での影響を考え
緊急事態宣言の発令を極力避けなければならないという事情もあるため、
今後も多くの地域でまん延防止等重点措置の指定が行われることになりそうです。
今回の「雇用調整助成金」は
事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、対象の助成金です。
事業者の方は、今回の助成金に限らず、各自治体の公式HPなどをこまめに確認し、利用できる制度について情報収集に取り組んでみてください。
本サイトでもその都度ご紹介していきます!
せっかく申請するなら助成金を受け取りたいですよね!
申請したいけど、申請の仕方がわからない…
書類の書き方が不安…
自分が該当しているのか自信がない…
少しでも不安がある方は、ぜひご相談ください!
最後までお読みいただきありがとうございました!