「従業員の不妊治療サポートのために企業がするべきことは何か」
「不妊治療の支援に利用できる補助金があるか知りたい」
とお考えの東京都の事業者の方、必見です!
晩婚化や出産の高齢化が進み、2021年の調査では、
夫婦のおよそ5組に1組が不妊治療を行っていることがわかっています。
不妊治療は、場合によっては5年や10年などの長期に及ぶことがあり、
通院回数の多さや体への負担から仕事との両立の難しさを感じる人が多くなっています。
では、不妊治療と仕事の両立のために企業が取り組むべきサポートには
どのようなものがあるでしょうか?
こちらの記事では
- 仕事と不妊治療の両立の必要性
- 企業が取り組むべき3つの支援策
- 従業員の不妊治療支援に利用できる奨励金
について解説します!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
仕事と不妊治療の両立の必要性
不妊治療では特に女性への負担が大きく、仕事との両立が壁になっています。
こちらではまず、
- 不妊治療と仕事の両立の現状
- 不妊治療と仕事の両立が必要な理由
について解説します。
不妊治療と仕事の両立の現状
不妊治療を行う夫婦は年々増加しており、厚生労働省の調査によれば、
2021年には夫婦全体の22.7%となっています。
夫婦の約5組に1組が不妊治療を経験していることになります。
出典:厚生労働省「事業主・人事部門向け 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001073885.pdf)
不妊に悩む人のサポートを行うNPO法人Fineが行ったアンケート調査では、
回答者の約96%が「不妊治療と仕事の両立は難しい」と答えています。
また不妊治療のために退職を選んだ人が約50%に上っていることもわかりました。
不妊治療は月経の周期に合わせて受診が必要です。
多い人では1カ月あたりに12日ほど通院する人もおり、
仕事との両立の難しさが課題になっています。
出典:厚生労働省「事業主・人事部門向け 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001073885.pdf)
不妊治療と仕事の両立が必要な理由
不妊治療と仕事の両立は、企業・従業員の両方にメリットがあります。
【企業側のメリット】
- くるみん認定で助成金が受給できる
- 従業員の会社に対する信頼感が増す
- 若い働き手の確保につながる
【従業員側のメリット】
- 不妊治療による経済的な不安が解消する
- 精神的な余裕ができる
不妊治療をサポートする企業は、一定の要件を満たすと「くるみん認定」が受けられます。
くるみん認定とは厚生労働省の制度で、
子育てに関する支援を行う企業の取り組みを奨励するものです。
くるみん認定を受けた企業は、補助金が受けられる、低金利で融資が受けられるといった
メリットがあります。
不妊治療をサポートすることで会社への信頼感が生まれたり、
ライフプランが立てやすいため若い働き手の確保にも役立つでしょう。
従業員にとっては、不妊治療を行いながら仕事が継続できることで、
高額な治療費への不安や、キャリア・ライフプランに対する懸念の解消に繋がります。
Fineのアンケートでは、不妊治療にかかった費用の総額は100~200万円と回答した人が
最も多く、最高では1,000万円かかったという人も。
不妊治療には高額な費用がかかるため、仕事との両立が欠かせません。
不妊治療の支援策
不妊治療と仕事の両立に対し、以下の4点で困難さを感じる人が多くなっています。
- 頻繁に仕事を休む必要がある
- 周期にあわせて通院する必要があり、スケジュール調整が難しい
- 周りに迷惑をかけて心苦しい
- 上司・同僚の理解を得にくい
上記の点を解消するため、企業が行うべき施策には以下のようなものがあります。
- 休みを取りやすい環境づくり
- 柔軟な働き方を取り入れる
- 仕事をチームで行う
ひとつずつ解説します。
休みを取りやすい環境づくり
不妊治療は1カ月あたりの通院回数が多く、また治療期間も1~10年など
長期に渡る可能性があります。
そこで重要になるのが、休暇制度や休暇に対する周囲の理解です。
休暇制度の工夫には
- 有給休暇を半日単位で取得できるようにする
- 多目的な休暇制度の創設
などがあります。
不妊治療をする人の中には、周囲に治療中であることを知られたくないという人もいます。
そういったケースへの配慮、また誰もが休める休暇制度があることで
「仕事を休むことの罪悪感」を減らすことができます。
柔軟な働き方を取り入れる
以下のような働き方を取り入れることも、不妊治療のサポートになります。
- フレックスタイム制の導入
- テレワークの推進
- サテライトオフィスの設置
仕事と不妊治療の両立で大切なのは、
勤務時間を通院スケジュールに合わせて変更できることです。
フレックスタイム制を導入することで、
治療のある日とない日の仕事量の差を埋めやすくなります。
またテレワークやサテライトオフィスの設置よって、
自宅・病院・会社の移動の負担を軽くすることもできるでしょう。
仕事をチームで行う
不妊治療のサポートには、仕事を俗人化せさないことも重要です。
治療中は体調の変化が大きく、急な受診が必要になることもあります。
また、治療前のように仕事をこなせないという精神的な負担を感じる人もおり、
それを理由に働き方を変える場合もあります。
そこで必要になるのが仕事のチーム化です。
チームとして1つの仕事に取り組むことで1人にかかる負担を減らし、
急な対応が必要な場合も対処がしやすくなります。
仕事をチームで行うことのメリットは、
子育てや介護など不妊治療以外の場面にもあります。
働く人のチャイルドプランサポート制度整備奨励金
東京都では、仕事と不妊治療の両立支援を行う企業をサポートするため、
奨励金を用意しています。
研修やサポート環境の整備に利用できるので、この機会に活用しましょう!
対象事業
以下の1または2を選択してください。
2の取組実施は既に「不妊治療」の休暇制度等を導入済みの企業が対象です。
- 「不妊治療」及び「不育症治療」の休暇制度及び休業制度等の整備事業 40万円
- 「不育症治療」の休暇制度等の整備事業 10万円
取組事項 | 内容 | |
1 | 社内意向調査の実施 | 「不妊治療」や「不育症治療」の休暇制度等の整備について、社内意向調査を実施してください。 |
2 | 管理職向け研修の受講 | 都が実施する不妊治療・不育症治療の理解を深めるための研修(eラーニング)を管理職名簿(申請時に提出)に記載されている管理職全員が受講してください。 |
3 | 「不妊治療」や「不育症治療」と仕事の両立に関する社内相談体制の整備 | 都内に勤務する常時雇用する労働者で雇用保険加入期間が6か月以上の方2人以上(原則として男性1人以上、女性1人以上)を社内相談員に任命してください。 |
4 | 「不妊治療」や「不育症治療」のための休暇制度等の整備 | 「不妊治療」や「不育症治療」の休暇制度等を新たに整備し、就業規則(本則)または本則に連携する規程に定め、事業所を管轄する労働基準監督署に届出を行ってください。 |
5 | 「不妊治療」や「不育症治療」のためのテレワーク制度等の整備 | 「不妊治療」や「不育症治療」を理由に利用できるテレワーク制度等を整備し、就業規則(本則)または本則に連携する規程に定め、事業所を管轄する労働基準監督署に届出を行ってください。 |
6 | 社内説明会の実施 | 都内に勤務する全労働者に対し、次の1~4を実施してください。
|
対象事業者要件
- 都内で事業を営んでいる企業等であること
- 都内に勤務する常時雇用する労働者を2人以上、かつ6か月以上継続して雇用していること
- 新たに申請する「不妊治療」や「不育症治療」のための休暇制度等が就業規則(本則)または本則に連携する規程に明文化されていないこと
事業の流れ
- 事前エントリー
- 奨励金の申請
- 奨励事業の実施
- 実績報告
- 奨励金の受給
まとめ
不妊治療に対するサポートを求めている人が多くいる一方で、
企業の制度はまだ追いついていないのが現状です。
不妊治療によって仕事を諦める人を減らすため、
また人手不足の予防のためにもサポート体制の整備が求められています。
補助金は最大で40万円支給されます。
この機会にぜひ活用しましょう!