日本では女性の社会進出が年々進んでおり、それに伴い
産休・育休の取得や働きやすい環境の整備が企業の課題となっています。
少子高齢化で労働人口が減っている今、仕事と家庭の両立の難しさを理由に
社員がやめてしまうことは、企業にとっても大きな痛手です。
そのため、ママやパパが働きやすい環境づくりが求められていますが、
・何をすれば良いかわからない
・働きやすい環境を整えることは会社にメリットがあるの?
・何かと費用がかかるから進められない
などの悩みを抱えている経営者の方は多いと思います。
この記事では、仕事と育児に関する課題や企業が支援する必要性
取り組み、使える補助金について解説します。
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
仕事と育児を両立する際の課題
出産するまでは問題なく働けていたのに、出産後に働くのが難しくなるのは、
日本における働き方や育児の考え方が大きく関係しています。
まず、3つの問題点について、それぞれ詳しく解説していきます。
1.柔軟な働き方や制度が整備されていない
厚生労働省の調査によると、共働き世帯は増加傾向にあり、
出産後も仕事を続ける意欲の高い女性が増えています。
しかし、これまで男性は仕事、女性は家事・育児という考えが根付いている日本は、
いまだに女性が子育てをしながら働くための環境が整っていません。
そのため、出産後に職場を辞めたり、パートへと働き方を変えるなど、
働く女性が自分に合った働き方へと変えなければならない現状があります。
仕事を辞めた理由としては、時短勤務ができなかったことや育児を支援する
職場の雰囲気がないなど、育児の大変さに対する職場の理解もまだまだ足りません。
2.男性の育児参加が消極的
日本では、男性の育児休業取得率はいまだに10%台であり、ヨーロッパの国々と比べても
男性が家事・育児に参加する時間が短く、その分、女性に負担がかかっています。
また、育児休業を取得した際の男性の仕事が、社員の負担増加となることや
復帰後のポストが変わるなど、企業の支援不足も男性の育児参加を止めています。
3.ワークライフバランスが整っていない
ヨーロッパでは、出産後すぐに働き出したり、正社員でも働き続けられる環境が
整っているため、出産したからといって、労働力が減ることはなく
また、保育の考えやサービスが充実しており、男女ともに理解があるからこそ
変わらず働き続けることができます。
社員の生活やライフイベントに合わせた制度を整えることで、仕事と家庭を両立でき
気持ちよく働けるだけでなく、長く働いてもらえるでしょう。
企業が支援する必要性
次に、なぜ企業が子育てしながら働く社員を支援する必要があるのか、詳しく解説します。
離職防止
出産を機に社員が仕事を辞めてしまうと、企業としては労働力を失うことになります。
出産する社員は、それまで仕事をする中で、様々なスキルを身につけたプロであり、
時間をかけてプロとなった社員を手放すことは、企業にとって惜しく、勿体ないことです。
労働人口が減っている今、再度人材を確保しようとしても、優秀な人材を確保することは難しいでしょう。
しかし、離職を防止できれば、育児休業で1年程いなかったとしても、
その後も働いてもらうことができ、必要な人材を失わずに済みます。
社員のモチベーションが向上する
時短勤務や突然の休暇を認めてもらえると、働きやすい会社として
企業に対する社員の信頼が増します。
育児をしながらでも働きやすい会社は、安心して仕事ができるだけでなく、
これまで身につけたスキルをブランクをあけずに発揮でき、仕事への意欲も増すでしょう。
モチベーションが向上すると、仕事がスムーズに進んだり
新たな企画が生まれるなど、企業にとってもメリットが大きくなります。
企業のイメージアップ
ワークライフバランスや育児に対する制度を整えると、
働きやすい会社や社員のことを考えている会社として評価されるでしょう。
イメージアップすると、就職希望者が増えたり、商品の購入率が上がるなど
企業としては嬉しい結果もついてくる可能性があります!
企業がやるべき取り組み
具体的に企業はどのような取り組みを進めればよいのか、詳しく解説します。
社内の制度を整える
まずは、時短勤務などの柔軟な働き方や休暇を用意し、
子育てしながら働く社員が困らないような制度が必要です。
子どもが生まれると自分の体調不良だけでなく、子どもの体調不良により
仕事を休まなければならない場合も出てきます。
子どもの数や年齢によっても必要な休暇日数は変わってくるため、
休暇制度の準備や部分的に在宅ワークができるようにするなど
ITツールの導入を進めていくと良いでしょう。
さらに、仕事量の調整や分担方法、グループで仕事を進めるなど
仕事の負担が社員平等になるような工夫も必要です。
また、社内に保育所を完備したり、妊娠中の体調変化時に休める部屋や授乳室のような
部屋を準備しておくと、搾乳したい女性には助かります。
社員の理解を深める
社内の制度を整えたら、次は社員の育児に対する理解を深める取り組みが必要です。
どんなに良い制度が整備されていたとしても、一緒に働く社員に不満を抱かれたり
態度や言動で反対されると、制度を活用しにくいです。
女性の体の変化や生活の変化について情報提供したり研修を実施し
知識を広めることで、理解が進むように会社が後押ししていく必要があります。
また、休む社員の負担を急に受けた分は、給料や休暇で労うなどの制度があると、
平等な負担で働くことができ、より理解も深まるでしょう。
働くパパママ育業応援事業
この事業は、東京都が実施している事業で、働く男性の育業取得や育児中の
就業継続のために、社内の環境を整えた企業に対して奨励金が支給されます。
大きく4つのコースが用意されており、それぞれ支援対象の条件や奨励金額が異なります。
対象企業
1.働くママコース
合計1年以上の育業から原職に復帰し、3ヶ月以上継続雇用されている都内在勤の女性従業員がいる都内の中小企業等
2.働くパパコース
合計15日以上の育業をした後、原職に復帰し、3ヶ月以上継続雇用されている都内在勤の男性従業員がいる都内の中小企業等
3.パパと協力!ママコース
女性従業員に合計6ヶ月以上1年未満の育業をさせ、夫婦交代等での育業を推進する中小企業等
4.もっとパパコース
複数の従業員が合計30日以上の育業をした後、原職に復帰し、3ヶ月以上継続雇用されている都内在勤の男性従業員がいる都内の企業等
奨励金
1.働くママコース
定額125万円を支給
2.働くパパコース
育業を合計15日取得の場合は25万円を支給
以降15日ごと25万円が加算され、上限は300万円
3.パパと協力!ママコース
定額100万円を支給
4.もっとパパコース
2人がそれぞれ合計30日以上の育業かつ複数の職場環境整備実施の場合は80万円を支給
3人目以降5人まで1人につき30万円加算され、上限は170万円
事業実施期間
令和6年3月31日まで
まとめ
子育てをしながら働き続けるには、夫婦の家事・育児の分担だけでなく
企業の支援が必要不可欠です。
企業は積極的に家庭のある社員を支援することで、
労働力や優秀な人材を失わずに済みます。
東京都では、育休取得や労働環境を整える企業に対して、補助金制度もあるため
活用できる今こそ、取り組みを検討してみてください。