少子高齢化により人口減少が進む日本は、人手不足の企業が多いために高齢者雇用が進み、高齢の労働者が増えてきました。
しかし、それに伴い労働災害にあう高齢者も年々増加しており
現場の環境改善や教育、健康管理などが企業の課題となっています。
高齢者を雇用している経営者の方は
・何をしたら良いかわからない
・高齢者にとって、危険な場所がわからない
・施設を改善したり、健康診断をするとお金がかかるから踏み切れない
など、悩みを抱えている方は多いと思います。
この記事では、高齢者を雇用するメリット・デメリット、解決方法や補助金について解説します。
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
高齢者雇用が推進されている理由
日本は世界的にみても少子高齢化が進んでおり、国の試算では2065年には
人口が約9000万人となり、高齢者の割合も約4割になると推計されています。
それに伴い労働人口も減り、新卒採用だけでは人材確保が困難となったため、
近年、高齢者に労働力を求めるようになりました。
高齢者も、年金受給年齢の引き上げや平均寿命の延長により、
定年後のお金に不安がある人、または生活のQOLをあげるために働きたい
と考える人も増えています。
つまり、高齢者雇用は企業と高齢者の双方の希望が叶えられる仕組みなのです。
高齢者を雇用するメリット4選
高齢者雇用は、人材確保以外に企業にとって、どのようなメリットがあるのか解説します。
1.人手不足の解消
労働人口が減少している日本は、新卒だけでは人材を確保することが困難であり、
人手不足解消のために高齢者雇用が進められています。
人口減少は今も続いており、欲しい人材を確保するだけでなく
人手を確保するのも難しくなってくるでしょう。
そのため、長く働いてもらえる新卒だけに目を向けるのではなく、
経験値が高い高齢者を雇用し、即戦力となってもらえれば
採用人数を減らしても仕事が進む可能性もあります。
2.経験の活用
仕事や社会経験が初めての新卒社員と違い、高齢者は社会経験が豊富で、
これまでの人生で様々なスキルを身につけているため、即戦力として働いてもらえます。
すると、教育時間が減るため、他の社員の仕事に影響も出にくい上に
課題解決や違った意見を聞くこともできます。
また、講師となってもらえれば、長年の経験で培ったスキルを若手社員に教育でき
外部講師を呼ばずに社内研修を実施できます。
3.多様な働き方の促進
最近では、短時間勤務や在宅ワークなど、働く場所や時間を多様化し、
各々が働きやすい環境を整備することが企業には求められています。
高齢者を雇用すると、働く年代を問わず、勤務時間も調整が必要なため
新たな雇用形態を生むきっかけにもなるでしょう。
様々な働きやすい取り組みを実施すれば、社会的にも企業価値やブランド価値が上がり
商品の売上などに良い影響を与えるかもしれません。
4.職場のモチベーション向上
定年後に働く高齢者は働く意欲が高く、モチベーションの高い状態で職場にいるため
一緒に働く他の社員の刺激になるでしょう。
職場全体の雰囲気が良ければ、新しい商品・事業を生むきっかけや
仕事へのやる気が生まれ、結果的に企業の利益に繋がります。
高齢者にとっても仕事ができることは、生活にメリハリがついたり
お給料や休日の楽しみがあることで人生のモチベーション向上にもなります。
高齢者を雇用するデメリット
次に、高齢者を雇用するデメリットについて解説します。
1.健康面に対する不安
高齢者雇用で最も心配されるのは健康面であり、企業による対応も重要な部分です。
高齢による体力低下に伴い、風邪をひきやすかったり
重症になりやすいと言われており、その際の休暇制度や負担が大きくならないよう
労働時間・内容を調整する必要があります。
人によっては持病を持っている方もいるため
仕事の調整だけでなく休憩場所の確保や健康診断などの健康管理を
積極的に企業が行うと安心して働いてもらえるでしょう。
2.体の変化による危険
年齢を重ねていくと、聴力・視力低下によりお互いの認識がずれてしまったり
注意書きに気づかないなど、危険を察知するのが遅れてしまう場合もあります。
また、筋力低下に伴い小さな段差でもつまづきやすくなったり
集中力の低下で事故に繋がってしまうこともあり、若手社員とは違った配慮が必要です。
会社の不十分な整備により怪我をさせてしまうと、企業は高齢者が復帰するまで
労働力を失い、高齢者は治療費などの金銭的負担が増加し
お互いに困る状況を作ってしまいます。
解決方法
事故が起きたり、けがをしてしまってからでは遅いので
高齢者にとって危険な場所を調べて対処しておきましょう。
職場の危険箇所の改善
まずは、高齢者の体の変化やどのようなところに危険が潜んでいるのか学習し
社内を点検していきましょう。
具体的には小さな段差の解消、手すりの設置、空調設備の整備で脱水予防などがあります。
また、体の変化に合わせ、聞き取りやすい音での放送や警報音を鳴らしたり
注意書きは大きく見やすい色にするなど、認識しやすいものに変えると良いです。
健康管理
出勤後はまず、体調を確認する制度や健康診断を受ける日を設けるなど
健康管理制度を整えましょう。
これは高齢者だけでなく、社員全員にとって大事なことであり
制度を整える際に会社全体が健康に取り組めるように、一緒に変えていけると良いですね。
ほかにも労働が負担とならないよう、働く時間や不安なことを本人と相談しておいたり
休暇制度を用意しておくと安心して働いてもらえるでしょう。
研修
作業方法や作業に伴うリスクなど、本人の注意を促すためにも、事前に研修しておきましょう。
間違った理解や注意が薄いと事故に繋がる可能性もあるため
定期的に研修を実施し、注意換気やお互いの認識が違うことがないようにしておきましょう。
令和5年度エイジフレンドリー補助金
この事業は、日本労働安全衛生コンサルタント会が実施している補助金制度です。
60歳以上の高齢労働者に起こる、特有の労働災害にあうリスクを減らすための施設改善
や健康保持増進に取り組んだ企業に対して、経費の一部が補助されます。
コースは、高年齢労働者の労働災害防止対策コースとコラボヘルスコースの2種類が用意されています。
対象事業者
高年齢労働者の労働災害防止対策コース
労災保険に加入していて、高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用し、対象の高年齢労働者が対策を実施する業務に就いている中小企業事業者
コラボヘルスコース
労災保険に加入していて、労働者を常時1名以上雇用している中小企業事業者
補助対象
・高年齢労働者の労働災害防止対策コース
高年齢労働者にとって危険な場所や負担の大きい作業を解消する取組に要した経費
・コラボヘルスコース
コラボヘルス等の労働者の健康保持増進のための取組に要した経費
補助上限・補助率
高年齢労働者の労働災害防止対策コース
上限額:100万円 補助率:1/2
コラボヘルスコース
上限額:30万円 補助率:3/4
※2コース合わせての上限額は100万円
申請期間
令和5年6月12日〜令和5年10月末日
まとめ
高齢者の雇用は、企業と高齢者の双方にメリットがあり
人口減少が続く日本ではこれから高齢者雇用はより重要になるでしょう。
大事な社員となる高齢者が労働災害の被害にあっては、労働力を失うだけでなく
企業の信頼も落ちてしまいます。
そうならないよう取り組まなければと考えている経営者の方にこそ
エイジフレンドリー補助金を使っていただきたいです。
自社・高齢者それぞれのために、ぜひ1度、労働環境を見直してみてください。