現在、コロナによる緊急事態宣言などが続く中、コロナ禍での雇用維持や休業手当等を支援する雇用調整助成金の特例措置が、9月末の期限から今年末まで延長の方針がかたまっています。
これには、2021年度の最低賃金(時給)の引き上げが10月に見込まれており、企業の人件費負担が増えることへの配慮もあるようです。
大切な人件費を支援してもらうための助成金の詳細を見ていきましょう。
補助金のお話は細かいし難しくて、わかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね
雇用調整助成金(特例措置)とは?
今年末まで延長される予定の「雇用調整助成金(特例措置)」は、売上減少などの理由によって厳しい状況となった事業主が、いたしかたない事情により従業員に一時的に休業してもらうなどの場合に、休業手当等への支援が受けられる助成金です。
【雇用調整助成金の特例】
・期間内の休業については上限日数の制限をしない
・一人一日当たり支給額を8,335円⇒15,000円にUP
・売上減少の条件を前年度非10%⇒5%に緩和
・手続きが大幅に緩和
従業員をお休みにして、休業手当を支払ったあとから受け取れる助成金です!
『雇用保険に入っていないパート、アルバイトも対象』になるのです!!
「うちにはバイト・パートしかいないから助成金をもらえない!!」と思っている社長必見です!
今回、コロナ禍での特例措置は雇用保険に入っていないパートアルバイトにも使える「緊急雇用安定助成金」が「雇用調整助成金」の一部として実施されています。
この2つの助成金について簡単にご説明します。
1.雇用調整助成金
雇用調整助成金とは、売り上げが減り事業縮小をせざるえない事業者が、従業員の雇用を維持するために、従業員に一時的な休業や出向、職業訓練をおこなった際に受けとれる助成金です。
企業が従業員に支払う休業手当の一部を、国が補てんいたします。
雇用調整助成金は、雇用保険の適用を受ける事業主が申請対象で、全ての業種の事業者が対象となっております。
通常、助成の日額上限は1人あたり約8,300円ですが、特例措置ではコロナ禍で業績が悪くなった企業の支援策として助成の日額上限が引きあげられました。
2.緊急雇用安定助成金(学生アルバイトなど雇用保険被保険者以外の方に対する休業手)
「雇用調整助成金」は通常、正社員など雇用保険に加入している労働者が対象ですが、今回の特例措置ではアルバイトなど雇用保険未加入の非正規労働者も助成対象となります。
この「雇用調整助成金」の一部として実施されているのが「緊急雇用安定助成金」です。
助成のための条件・助成上限額・助成率は「雇用調整助成金」と同等になります。
『雇用系 助成金』と呼ばれる助成金は、お金の出どころが「雇用保険料」です。
今回のように雇用保険に加入していない(週20時間以下の勤務など)アルバイトさんにも出るのは大変珍しいです。
申請するための条件は?
つぎの条件を満たす全ての業種の事業主が対象となります。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している(比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります)
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
休業手当ってどういう計算をするの?
休業手当ってひとことで言っても「いったいいくらなの?」「国で定められた基準はあるの?」
と、詳細を知らない方が多いです。
「休業」の定義
ここでの「休業」は、労働基準法第26条でいう「休業」を指します。
「労働義務のある時間について労働ができなくなること」をいいます。
「休業」は時間単位でカウントされますので、決められた労働時間の一部のみ休んだ場合でも「休業」時間としてカウントされます。
たとえば、土日祝が定休日のOLさんの土日祝部分に関しては、お休みカウントされません。
当たり前ですね!
休業手当とは?
会社の都合で従業員に休んでもらい、その対償で支払う賃金を「休業手当」と呼びます。
第26条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
引用:労働基準法第26条
休業手当の計算方法
休業期間中に支払われる休業手当(労働基準法26条)の金額は「平均賃金×60%」以上です。
平均賃金と休業手当の計算例を解説いたします。
1日の平均賃金とは
直前3ヶ月間の賃金の合計 ÷ 直前3ヶ月間の暦日数
で計算されます。
労働日数の少ない、時給・日給・出来高給の場合は、
直前3ヶ月間の賃金の合計 ÷ 直前3ヶ月間の労働日数
など、計算方法が異なってくるため、相談窓口に相談や確認する事をお勧めいたします。
顧問の社会保険労務士の先生がいらっしゃる場合は、先生に相談されるのも良いですね。
労働条件相談ほっとラインやメール相談はこちら(厚生労働省)
休業手当の計算例
それでは具体的に計算例をみてみましょう。
【対象月の例】
店舗のスタッフ。毎月20日間の勤務。8月より会社都合で休業。
5月末に支払われた賃金→31万円
6月末に支払われた賃金→30万円
7月末に支払われた賃金→31万円
①まずは平均賃金を計算
たとえば、8月より会社都合で休業の場合、「5月1日~8月30日」までの3ヶ月間が平均賃金の計算対象となります。
直近3ヶ月間の賃金の総額
(5月)31万円+(6月)30万円+(7月)31万円=総額92万円
また、5月1日~7月30日の暦日数は92日です。
この場合の1日あたりの平均賃金は、
直近3ヶ月の賃金総額92万円÷直近3ヶ月の暦日数92日=1万円
②1日あたりの休業手当の額を計算
1日あたりの休業手当の額は,平均賃金×60%以上。少なくとも、
1万円 × 60% = 6,000円
となります。
③休業期間の休業手当の総額を計算
1日あたりの休業手当の額が少なくとも6,000円です。
休業日数が20日ですので、最低6,000円×20=12万円となります。
どれくらいの期間、いくらもらえるの?
それでは、受け取れる金額などの詳細をみていきましょう。
助成率
【中小企業】
原則:4/5
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:10/10
【大企業】
原則2/3
解雇などを行わずに雇用維持に取り組む場合:3/4
助成上限額
通常の雇用調整助成金の支給額は、従業員一人一日当たり8,330円(教育訓練:1,200円加算)が上限でした。
今回の特例措置では、支給額の上限が15,000円(教育訓練:中小2,400円・大企業1,800円加算)と、大幅に引き上げられています。
(通常)8,330円/1人 ⇒ (特例措置)15,000円/1人
【助成上限額】
対象者 | 全ての業種の事業者(雇用保険の適用を受ける事業主) |
---|---|
必須申請条件 | ●直近1ヵ月の売上高や生産高などが前年の同月比で5%以上減少したこと
●休業手当を支給して一時的に従業員に休業、出向、職業訓練を行った |
助成額の上限 | 1日1人 15,000円もしくは13,500円
※下記1または2の条件の場合は15,000円 ①売上高等の生産指標が最近3ヶ月平均で前年または前前年同期に比べ30%以上減少している企業 ②緊急事態宣言またはまん延防止等重点措置の区域で、都道府県知事による営業時間短縮等の要請等に協力する企業 |
支給上限日数
通常の雇用調整助成金では原則として1年間で100日分、3年で150日分が上限日数となります。
今回の緊急対応期間中(令和2年4月1日~令和2年9月30日)に実施した休業などは、通常の支給の限度日数の対象外となり日数の制限はありません。
特例の適用期間
雇用調整助成金の特例の適用期間は9月30日までです。
地域によっては、令和3年10月31日まで引き続き特例措置を実施する予定と公表されています。
年末まで延長される方針が固まっているとの情報も発表されておりますので、
延長情報は、厚生労働省のページでも確認しましょう。
厚生労働省「雇用調整助成金のお知らせ」
どんな手続きが必要なの?
申請は休業実施の末日から2カ月以内に行う必要があります。
本来、雇用調整助成金では休業を実施する前に休業計画を提出し認定を受ける手続きが必要となっています。
現在は緊急対応期間中の特例として「計画届」の提出が不要です。
↑↑緊急雇用安定助成金申請マニュアル↑↑
まとめ
コロナ禍、色々な補助金・助成金が出ています。
その中で今回は人件費を補てんできる「雇用調整助成金」をご紹介いたしました。
社員やアルバイトを抱えられている経営者さんは、みんなと会社を守るためにも、随時、公表される情報をしっかり集めて活用していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
従業員を守るため、会社を守るために助成金を活用しましょう!
使えるかどうかわからないという方は、まずはお気軽にご相談ください!