「事業継承をしたいけど、どうすればいいか分からない」
「誰に会社を任せればいいか選定できない」
などの悩みを抱えている中小企業事業主さまは多いのではないでしょうか?
そこで今回は、中小企業における事業継承の現状と課題、事業継承の方法とメリット・デメリットについて解説していきます!
事業継承に活用できる助成金情報(※東京都の助成金情報です)も紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
中小企業における事業継承の課題
まずは、中小企業庁による事業承継の課題について解説していきます!
事業承継の課題は・・・
- 中小企業経営者の大量引退期が到来
- 後継者難による廃業
- 好業績にもかかわらず廃業
- 事業承継は進んでいない
などが挙げられます。
中小企業経営者の大量引退期が到来
中小企業庁が挙げる事業承継の第一の課題は、中小企業経営者の大量引退期が到来していることです。
実態調査によると、最も人数が多い年齢層は年々高くなっており、1994年に40代後半だった経営者年齢の山は、2018年には70歳に達する勢いです。
したがって今後は、多くの中小企業経営者が引退することが予想されます。
後継者難による廃業
事業承継の課題として次に挙げられるのは、後継者難によって多くの中小企業が廃業する可能性が高まっていることです。
60歳以上の中小企業経営者のうち、5割以上が廃業を予定しています。個人事業者に限れば、約7割が廃業を検討しています。
中小企業庁の調査によると、廃業する理由の第1位は「当初から自分の代でやめようと思っていた(38.2%)」、第2位は「事業に将来性がない(27.9%)」でした。
しかし、第3位から第5位までは、
- 子どもに継ぐ意思がない(12.8%)
- 子どもがいない(9.2%)
- 適当な後継者が見つからない(6.6%)
で、合計で約3割が該当しました。
好業績にもかかわらず廃業
廃業を予定している企業の中には、好業績でありながら廃業する企業が多いことも、大きな課題の1つとなっています。
廃業を予定している中小企業の約3割が、「同業他社より良い業績を上げている」と答えています。
また、今後10年間の事業の可能性についても、約4割の企業が「少なくとも現状維持は可能」としています。
事業承継は進んでいない
中小企業経営者の大量引退期が到来し、廃業を予定している企業が多くあります。
しかしその中には、好業績の企業も少なからずあることが分かります。
それにも関わらず、過半数の企業で事業承継が進んでいないことも大きな課題でしょう。
アンケート調査では、70代、80代の経営者の半数以上が「準備は終わっていない」と回答している。
そして、準備が滞っている理由の第1位は、「後継者を探すこと」であることが分かります。
具体的な事業承継の方法とは
今章で、事業継承の具体的な方法とそのメリット・デメリットについて解説していきます!
【1】親族内承継
経営者の子ども、あるいは親戚に事業を引き継ぐこと。
事業承継の中では最もイメージしやすく、従業員や取引先からも理解を得やすい方法といえるでしょう!
親族内承継は、現在の経営者の体制で順調に運営されている会社をどのような計画を立てて後継者に引き継ぐかがポイントになってきます。
親族内承継のメリット
- 取引先や従業員から信頼を得やすい
- 後継者候補を選ぶ時間を短縮できる
- 所有と経営を一致
親族内承継のデメリット、注意点
- 経営の意思と素質を持ち合わせる人材がいるとは限らない
- 相続人が複数いる場合は、後継者以外への相続人に対する配慮が必要
- 保証債務も承継することになる
- 後継者が一人で株式を相続する場合、相続税負担が多額になる可能性がある。
【2】親族外(役員・従業員)承継
親族以外を後継者とすること。
具体的には・・・共同創業者・役員・従業員から選定する方法です。
自社株は経営者が保持したまま、社長としての地位を譲り、経営を任せることもできます!
親族外(役員・従業員)承継のメリット
- 経営理念を承継しやすい
- 広い候補者から選別が可能
親族外(役員・従業員)承継のデメリット・注意点
- 資金面の問題で引き受けてもらえないことがある
- 経営者になりたいという意欲を持つ社員がいない
- 改革が起こりにくい
【3】M&A(企業の合併や買収)
完全な第三者である企業へ、事業を引き継ぐ方法。
- 取引先や同業者へ相談する
- M&Aアドバイザーと契約し買い手となってくれる企業を探す
- 公的機関である事業引継ぎ支援センターに相談する
などの方法があります。
M&A(企業の合併や買収)のメリット
- より広い範囲から後継者を選べる
- 従業員の雇用を守れる
- 他社とのシナジー効果が期待できる
- 個人保証から解放され、ハッピーリタイアが可能になる
M&A(企業の合併や買収)デメリット・注意点
- 経営理念や企業風土の伝達が難しい
- 根強いネガティブイメージ
- M&A成約・実行までに時間がかかり、最悪の場合買い手が見つからないこともある
第1回事業承継支援助成金とは
事業承継、経営改善を実施する過程において活用する外部専門家等に委託して行う取り組みに対し、その経費の一部を助成します。
都内中小企業の持続的な成長・発展に向けた新たな事業展開に寄与し、円滑な事業承継、経営改善につなげていくことを目的とする事業です。
参考▶️東京都中小企業振興公社|令和5年度 第1回事業承継支援助成金
補助対象経費
経費は次の①~④の要件を全て満たす必要があります。
- 助成対象事業として決定を受けた事業を実施するための経費
- 助成対象期間内に、契約・履行及び支払が完了した経費
- 助成対象(使途、単価、規模等)の確認が可能であり、かつ、本助成事業に係るものとして、明確に区分できる経費
※使途、単価、規模等は見積書等で確認します。 - 財産取得となる場合は、所有権(ソフトウェアの場合は著作権)が申請者に帰属する経費
【Aタイプ(後継者未定)】
- 財務、税務、法務や労務等のデューデリジェンス・企業価値や事業価値等の価値算定のための業務委託経費
- 後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)・M&A仲介業者等との契約締結に要する経費
※成功報酬に係る費用等は対象となりません。
※委託先はM&A支援機関登録制度の登録機関に限ります。
【Bタイプ (後継者決定)】
- 株式譲渡、相続手続き等に要する外部専門家への業務委託経費
- 財務、税務、法務や労務等のデューデリジェンス、企業価値や事業価値等の価値算定のための業務委託経費
- 中核人材(幹部社員)の確保や育成に向けた 人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費
※中核人材 (幹部社員 )は採用時に課長級以上の社員が目安です。
【Cタイプ(企業継続支援) 】
- 中核人材(幹部社員)の確保や育成に向けた 人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費
- 社内経営管理システム (生産管理システム、営業管理システムや財務会計システム等 )の構築に向けた、外部専門家への業務委託や外部の事業者へのシステム開発委託経費
- 組織、人事等内部管理体制の整備のための業務委託経費
- 新市場開拓のための調査会社への市場調査委託経費
- 新市場開拓や新たな販路開拓に向けた、HP・パンフレット等の作成や更新のための業務委託経費
※中核人材(幹部社員)は採用時に課長級以上の社員が目安です。
【Ⅾタイプ (譲受支援)】
- 財務、税務、法務や労務等のデューデリジェンス、企業価値や事業価値等の価値算定のための業務委託経費
- 契約書の作成やレビューのための業務委託経費
- 事業統合(PMI)計画の策定のための業務委託経
助成金額
助成金額は下記の通りです。
上限金額 | 200万円(申請下限額 20万円) |
---|---|
助成率 | 2/3以内 |
対象企業
対象企業は下記の通りです。
都内で実質的に2年以上営業(登記必須)している中小企業(みなし大企業除く)
【Aタイプ(後継者未定】
- 第三者への事業譲渡(M&A等)に向けた取組
【Bタイプ(後継者決定)】
- 事業承継(譲渡)に向けた取組
- 基準日(令和5年4月1日)以降、10年以内に譲渡予定であること
- 令和4年4月1日~令和5年3月31日の間に下記いずれかの支援を受けていること
・(公財)東京都中小企業振興公社(以下、「公社」という)が行う「事業承継・再生支援事業」
・東京商工会議所、町田商工会議所及び東京都商工会連合会が行う「地域持続化支援事業(拠点事業)」
・(一社)東京都信用金庫協会、(一社)東京都信用組合協会が行う「地域金融機関による事業承継促進事業」
・東京信用保証協会が行う「専門家派遣事業」
※公社以外の支援を受けて申請する場合、現地診断(訪問によるヒアリング)を行う必要があります
【Cタイプ(企業継続支援)】
- 事業承継・経営改善等の取組令和4年度に公社が行う企業継続支援を受けていること
【Dタイプ(譲受支援)】
- 取引先の事業又は株式の譲受のための取組
- 譲受予定企業と基準日時点で取引があること
- 令和5年7月21日(金)までに現地診断を実施できること
最後に
中小企業における事業継承の現状と課題、事業継承の方法とメリット・デメリットについて解説してきました。
事業継承を行うか迷っている事業者さまは、
ぜひ助成金を活用して、事業継承を行なってみませんか?
ぜひ参考にしてください!