政府は望まない受動喫煙を防止するために
「改正健康増進法」を2020年4月1日から施行し
飲食店は原則として「屋内禁煙」となりました。
店内に喫煙室を設ければ、喫煙を認めることができますが
中小企業や個人など事業規模が小さい飲食店では
設置場所やコストなどの問題で喫煙室を設けることが難しい場合があります。
特に、飲食時に喫煙を伴うことがある
居酒屋やカフェでは客離れが問題になっています。
そこで今回は、受動喫煙防止対策について説明するとともに
喫煙室を設置する際に活用できる【受動喫煙防止対策助成金】
をご紹介します!
喫煙室の設置を検討していたという方は
ぜひご参考にしてください。
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
受動喫煙の危険性
まずは、受動喫煙の危険性から説明します。
たばこには喫煙者がフィルターなどから吸う煙『主流煙』と
火のついた先端部分から立ち上る煙『副流煙』があります。
受動喫煙とは、この副流煙を喫煙者以外の人が吸ってしまうことを言います。
フィルターを通らない「副流煙」には喫煙者本人が吸う
「主流煙」より高濃度の有害物質が含まれています。
有害物質 | 主流煙 | 副流煙 |
---|---|---|
タール (ヤニ、発がん促進物質) | 1 | 3.4倍 |
ニコチン (ゴキブリの殺虫剤の成分) | 1 | 2.8倍 |
一酸化炭素(酸素の運搬機能を妨げる) | 1 | 4.7倍 |
アンモニア(目を刺激する) | 1 | 46.0倍 |
引用:健康医療都市まつどHP
受動喫煙の科学的な研究によると、受動喫煙による
肺がんのリスクは1.28倍
虚血性心疾患のリスクは1.3倍
脳卒中のリスクは1.24倍とされています。
さらに子供の呼吸器疾患や中耳炎などを
引き起こすことが指摘されているだけでなく
妊婦やその周囲の人の喫煙によって
低体重児や早産のリスクが上昇すると言われており
このようなことから、受動喫煙を防止する取り組みが求められています。
改正健康増進法とは
引用:なくそう!望まない受動喫煙HP
改正健康増進法とは、冒頭でもお伝えした通り
望まない受動喫煙を防ぐための法律です。
これにより
・多くの施設において屋内が原則禁煙
・20歳未満の方は喫煙エリアへ立入禁止
・屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要
・喫煙室には標識掲示が義務化
になりました。
しかしながら、施設における事業の内容や経営規模への配慮から、
類型・場所ごとに、喫煙のための各種喫煙室の設置が認められています。
改正健康増進法 喫煙室4つのタイプ
喫煙室には4つのタイプがあります。
①喫煙専用室
②加熱式たばこ専用喫煙専用室
③喫煙目的室
④喫煙可能室
どのような違いがあるのか、1つずつ見ていきましょう。
喫煙専用室
喫煙:可能〇
飲食など:不可×
施設の一部に設置可能です。
加熱式たばこ専用喫煙室
喫煙:加熱式たばこ限定で可能△
飲食など:可能〇
施設の一部に設置可能です。
喫煙目的室
喫煙:可能〇
飲食など:主食(※)を除いて可能
※米飯類、パン類(菓子パン類を除く)麺類等が主に該当
施設の全部、または一部に設置可能
ただし、経過措置に限定
喫煙可能室
喫煙:可能〇
飲食など:可能〇
施設の全部、または一部に設置可能です。
分類とは
・第一種施設 ・第二種施設 ・喫煙目的施設
の3つに分類されます。
第一種施設とは
受動喫煙による健康影響が大きい、子どもや患者等が主に利用する
施設および行政機関の庁舎が該当します。
第一種施設は喫煙室を設けることはできず、敷地内禁煙です。
※屋外の必要な措置が取られた場所に喫煙場所の設置可
学校
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校
中等教育学校、特別支援学校、大学
専修学校、各種学校(主に20歳未満の者が利⽤するものに限る)など
病院
病院、診療所、助産所、薬局、介護医療院、介護⽼⼈保健施設など
児童福祉施設
児童福祉施設 保育所、児童福祉施設、児童厚生施設など
⾏政機関の庁舎
国・地⽅⾃治体の⾏政機関の庁舎
※⾏政機関がその事務を処理するために使⽤する施設に限る
第二種施設
多数の者が利用する施設のうち、第一種施設および喫煙目的施設以外の施設
基準を満たす喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室の設置が可能です!
該当施設例
劇場、映画館、観覧場、集会場、運動施設、公衆浴場
物品販売店、⾦融機関、公共交通機関の旅客施設
図書館、社会福祉施設、遊園地、動物園など
オフィス、事務所、飲食店、宿泊施設、
ゲームセンター・カラオケボックスなどの娯楽施設
その他のサービス業を営む店舗
資本⾦または出資総額5,000万円以下の飲⾷店は、
喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室・喫煙可能室の3タイプの中から
いずれか1つ、もしくは組み合わせて選択することが出来ます。
喫煙目的施設
喫煙をする場所を提供することを主な目的する施設
喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室・喫煙可能室の3タイプの中から
いずれか1つ、もしくは組み合わせて選択することが出来ます。
公衆喫煙所
施設の屋内の場所の全部の場所を専ら喫煙をする
場所とするもの喫煙を主目的とする
バー・スナックなど
バー・スナック等のうち、たばこの販売許可を得て対面販売をしていて、
施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを
主な目的とし、併せて設備を設けて客に飲食をさせる営業
店内で喫煙可能なたばこ販売店
たばこ又は専ら喫煙の用に供するための器具の販売をし、
施設の屋内の場所において喫煙をする場所を提供することを
主な目的とするものであること
※設備を設けて客に飲⾷をさせる営業を⾏うものを除く
詳細はこちらから確認できます↓
屋内喫煙が可能になる喫煙室の基準
・『喫煙専用室』『加熱式たばこ専用喫煙室』を設ける
・店内の一部を『喫煙目的室』にする
場合、以下の基準をすべてクリアしなければなりません。
①(喫煙室と禁煙エリアとの)出入口において、
室外(禁煙エリア)から喫煙室内への空気が
「0.2m/秒以上」の風速で流入するようにする
②たばこの煙が室内から室外(禁煙エリア)に漏れ出ないよう、
壁・天井などによって区画する
③たばこの煙を屋外または外部に排気する(屋外排気)
以前はよくあった、パーテーションで間仕切りしたスペースに
空気清浄機を置くというこは出来ず、設置にあたり
中小企業や個人にとってコストがかかります。
受動喫煙防止対策助成金
最後に、受動喫煙防止対策を行う際の費用の一部を支援する
【受動喫煙防止対策助成金】をご紹介します!
対象の事業主
1~3に該当する事業主
1.労働者災害補償保険の適用事業主
2.次のいずれかに該当する中小企業事業主
3.事業場内において、措置を講じた区域以外を禁煙とする事業主
対象の措置
①喫煙専用室の設置・改修(既存特定飲食提供施設)
・入口における風速が0.2 m/秒以上
・煙が室内から室外に流出しないよう、壁
天井などによって区画されていること
・煙を屋外または外部の場所に排気すること
喫煙外の使用:×
②指定たばこ専用喫煙室の設置・改修(既存特定飲食提供施設)
・入口における風速が0.2 m/秒以上
・煙が室内から室外に流出しないよう、壁
天井などによって区画されていること
・煙を屋外または外部の場所に排気すること
喫煙外の使用:○
対象経費
上記①~②の措置にかかる工費、設備費、備品費、機械装置費など
助成上限・助成率
上限額:100万円
助成率:飲食店を営んでいる事業者は2/3
それ以外は1/2
申請の流れ
引用:受動喫煙防止対策助成金のご案内
まとめ
今回は、受動喫煙防止対策についても説明と
喫煙室を設置する際に活用できる
【受動喫煙防止対策助成金】をご紹介しました!
喫煙室の設置はどうしてもコストがかかってしまいます。
〇設置場所やコストなどの問題で
喫煙室を設けることができなかった事業者の方
〇喫煙室の設置を検討されていた事業者の方
受動喫煙防止対策助成金を活用して喫煙室を設置するチャンスです!