障がいのある方の雇用を進めることは、企業価値の向上や多様性のある組織作りなど、多くのメリットをもたらします。
また、雇用全体の方針を見直すきっかけにもなり、業務の効率化や生産性の向上に繋がるなど、様々な効果をもたらします。
今回は、障がい者雇用のメリットや課題の解説を行なっていきます!
また、障がい者雇用促進に活用できる助成金情報も紹介いたしますので、
ぜひ参考にしてください!
障がい者雇用の現状
障がい者は、大別すると身体障害者・知的障害者・精神障害者の3種類に分けられます。
日本の障害者雇用推進は、1960年の「身体障害者雇用促進法」制定から大きく動き出します。法律の制定当時は身体障害者のみが対象でした。
しかし、その後改正が繰り返され、1998年には知的障害者が、そして2018年には精神障害者が対象に加わり、様々な障害を抱えた人々が、障害者雇用に関連する政策によって支援を受けられるようになりました。
厚生労働省が発表したデータによると、民間企業に雇用されている障がい者数は、
2022年時点で61.4万人
19年連続で過去最高を更新しました。
障がい者雇用のメリット
障がい者雇用するメリットについて解説していきます!
その一方で、雇用における課題もあるので解説していきます!
障がい者雇用のメリット
まずは、メリットを紹介していきます!
1.業務を見直し、最適化・効率化を図るきっかけになる
障がいのある方を雇用すると場合、個々の障がいの特性や職務能力に合わせて、働ける業務を創出する必要があります。
障がい者雇用をする上で、よく聞かれる悩みの1つが、「障がい者にどのような仕事を任せればよいのかわからない」ということです。
例えば下記のような業務はどの会社でも行われていますが、障がいのある方が取り組む業務としても比較的切り出しやすいと言われています。
- インターネットや文献資料で調査する
- 資料やデータをスキャン・入力する
- データをとりまとめて更新する
- リストを抽出・作成する
- 資料を送付する
- Webサイトに情報を掲載・更新する
業務を創出のために、日常の業務の中で何気なく行っている作業を内容・行程・進め方などの視点で改めて見直す必要があります。
その過程が、障がい者のためだけでなく、部署や会社全体の業務の最適化、効率化を図るきっかけとなるのです。
2.生産性が向上し、戦力として活躍する
障がいの特性をしっかりと理解し、適切な職務配置を行うことで、障がい者が定着して働くことができます。
さらに適切な人事評価制度やマネジメントによって生産性が向上し、戦力として活躍できるようになります。
近年のIoTやツールの進化によって、障がい者が担うことができる仕事の幅が拡大し、円滑なコミュニケーションも可能になってきているため、マネジメントでの負荷も軽減されつつあります。
また、テレワーク雇用など働く場所や勤務形態の選択肢も徐々に増えているので、働きやすい環境の中でより生産性を向上させることも可能でしょう!
3.社会的責任(CSR)を果たす、企業としての価値創出につながる
近年、企業経営の観点においてはダイバーシティ&インクルージョンや働き方改革という概念が注目されています。
企業が障がい者を雇用することは、障がい者の方が活躍できる場を提供するという意味を持つため、大きな社会貢献につながります。
障害者雇用率制度とは・・・障害者が社会保障費を受給する立場から、みずから労働して対価を得て自立し、社会で活躍できるようにするため設けられた制度
4.多様性のある企業文化、組織作りができる
ダイバーシティの重要性は社会的にも広がっていますが、企業の雇用においても多様化が一層進むであろうと予想されます。
ダイバーシティとは・・・性別や人種の違い、障がいの有無を問わず、多様な人材を活用しようという考え
障がい者と共に働くことで「違い」に気付くことができ、お互いの理解を深め配慮しようという助け合いの空気を育むことができるでしょう。
また、新しい発想や視点を発見することもできます。
障がいの特性や職務能力などから、障がい者の中にも「個性」があるという事を知ることができるはずです。
障がい者雇用は企業内に多様性を生み、より強固な組織作りを可能としてくれます。
障がい者雇用における課題
次に、障がい者雇用における課題を解説していきます!
障がいや病気を有する者が職場にいる場合の職場への影響
障がいや病気を有する者が職場にいる場合の影響として、
「仕事の進め方について職場で見直すきっかけになった」
「各人が自分のライフスタイルや働き方を見直すきっかけとなった」
という良い面がある一方、
「仕事の負担が重くなった」
「職場で社員の間に不公平感が生まれた」といったマイナスの意見も多くありました。
よい影響を受けつつも、障がいのある方と共に働くという点で真の理解を深めることは容易ではないということが分かります。
雇用と定着における課題
障がい者の雇用計画・準備段階:
「(配属現場における)社内理解の促進」
「業務切り出し・新規創出」
に課題を感じていることが見て取れます。
障がい者の採用・配属後:
「受け入れ組織の管理者・指導者育成」
「受け入れ組織の負担の増加」
に課題を感じているということが分かっています。
雇用だけでなく、その後の定着においても課題を抱えているということを読み取ることができるでしょう。
参考▶︎ChallengeLAB
人材開発支援助成金 障害者職業能力開発コース
障がい者に対して職業能力開発訓練事業を実施する場合に助成するものであり、障がい者の雇用の促進や雇用の継続を図ります。
助成金額
助成金額は下記のとおりです。
施設設置費 | 支給対象費用の3/4 |
---|---|
運営費 | 支給対象費用の3/4(重度障害者等は4/5) |
- 障がい者職業能力開発訓練事業を行う訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備または更新に要した費用に3/4を乗じた額が助成されます。
- 初めて助成金の対象となる訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備の場合は5,000万円を上限とします。
- 訓練科目ごとの施設または設備の更新の場合については、1,000万円を上限(複数回支給を受ける場合も事業主等ごとの累積の上限となる額)とします。
支援対象者
本助成金を受給する事業主等は、「各雇用関係助成金に共通の要件等」のAの要件に該当し、かつ、Bの要件に該当しておらず、次の(1)~(4)の要件のすべてに該当することが必要です。
詳しい要件はこちら
- 次の①~④のいずれかに該当する者
① 事業主または事業主団体
② 専修学校または各種学校を設置する学校法人または法人
③ 社会福祉法人
④ その他障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人 - 能力開発訓練施設等の設置・整備または更新を行った後、障害者職業能力開発訓練を5年以上継続して行う事業主等であること
- 実施する障害者職業能力開発訓練において、就職支援責任者の配置を行う事業主等であること
- 訓練対象障害者の個人情報を取り扱う際に、訓練対象障害者の権利利益を侵害することのないよう管理運営を行うものであること
最後に
障がい者を雇用することは法的義務を果たすだけではなく、企業にとって多くのメリットを生みます。
障がい者雇用を実施することで、業務の見直しが図れたり、新たな視点で物事を見ることに繋がるでしょう!
この機会に助成金を活用して、障がい者雇用を推進してみませんか?
ぜひ参考にしてください!