働き方改革関連法案が中小企業にも適用されるなか、労働環境を改善するときに活用できる助成金が用意されています。
そこで今回は、働き方改革によるメリットと企業で実施できる取り組みを紹介していきます。
働き方改革に効果的に使える助成金情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
なぜ働き方改革が必要なの?
働き方改革が必要とされる背景には、いくつかの社会的要因があります。
働き方改革の必要性について詳しく解説していきます!
長時間労働の解消
働き方改革が必要とされる理由のひとつが「長時間労働」です。
日本では多くの企業で長時間労働が常態化しており、
みなし残業やサービス残業などと呼ばれる時間外労働の長さが問題視されてきています。
長時間労働が常態化してしまうと、
- 働き手は出産育児や介護との両立が難しく
- 心身の状態が悪くなってしまうことも
解決策として以下のような施策がさまざまな企業で取り入れられています。
- 無駄な業務を減らし効率化を図る
- 残業の事前申請制
- 長時間労働者への健康措置
- フレックスタイム制の導入
- テレワークの導入
非正規社員と正社員との格差
非正規社員と正社員の格差をなくしていくのも、働き方改革のひとつです。
正社員か非正規社員かという雇用形態の違いだけで、
待遇や賃金の格差が生じている企業も少なくありません。
例えば:
派遣社員が派遣社員になったり交通費や通勤手当が支給されなかったりなど
さまざまな不平等や格差があります。
多様な働き方の実現
仕事をする場所や時間に捉われない多様な働き方を推進することによって、
育児・介護・病気など、さまざまな事情を抱えている人でも働きやすい環境を整えることが可能になります。
特に女性は、
- 出産や育児によってキャリアが途切れたり
- 退職を余儀なくされることも
↓多様な働き方を実現
家庭の事情を抱える人でも働き続けることができ、
企業は優秀な人材を確保し労働力を増やすことができます。
働き方改革を行うメリット
働き方改革で得られるメリットは数多くあります。
ここでは会社と社員、それぞれの視点から見たメリットを解説します。
会社側からみたメリット
生産性の向上
長時間労働の見直しを行うことで、生産性の向上が期待できます。
仕事は限られた時間の中で、いかに効率よく仕事を進めるかという工夫が求められます。
働き方改革によって長時間労働が解消されることで、短時間で集中して効率よく業務が行えるというメリットがあります。
人材不足の解消
働き方改革によって労働環境などを改善することで、優秀な人材の確保にもつながります。
誰しもブラック企業には勤めたくはないものです。
そのため、働き方改革に積極的に取り組み、社員にとって働きやすく魅力的な環境を整えることで、
「社員のキャリアビジョンやライフワークバランスを大切にしてくれる企業」だと見なされ、優秀な人材を確保しやすくなります。
社員からみたメリット
子育てや介護との両立
子育て世代や家族の介護を抱える社員は、仕事と家庭との両立が難しく、
- 時短勤務やパートタイムへと切り替えたり
- 最悪の場合は退職したり
働き方の見直しをせざるを得ないケースが多々あります。
しかし働き方改革によって多様な働き方が実現することで、
家庭の事情があっても働きやすい環境が整い、仕事と家庭の両立がしやすくなります。
ライフスタイルにあった働き方の実現
短時間労働や在宅勤務など、好きな働き方を自由に選択できることで、
通勤や満員電車などのストレスから解放され働きやすい環境が実現できます。
またさらに、
- 副業や新たなスキルの習得に励んだり
- 家族や趣味の時間を多く確保したり
など、より良いライフスタイルを充実させるための時間がとりやすくなります。
働き方改革を実現するための企業の取り組み
社内託児所の設置
子育て中の社員が活躍できる職場にするためには、社内託児所の設置が効果的です。
社員が乳幼児を抱えている場合、
いざ働こうと思ったとき、「待機児童がいっぱいで、保育園に入れない…」という問題が多くの家庭に立ちはだかります。
このような課題を解決するために
↓
社員の子供を預かるように環境を整えることで、
小さな子供がいても働きやすくなり、育児と仕事の両立が実現
フレックスタイム制の導入
フレックスタイムとは、日々の生活と仕事のバランスを取りながら効率的に働くことができる制度です。
フレックスタイム制・・・
1日の労働時間が定められていないため、社員自身が1日の労働時間を自由に決めることが可能。
そのため、育児や家族の介護などのような事情を抱えていても、
家庭の諸事情に合わせて効率的に時間配分や調整ができるため、私生活と両立しやすいというメリットがあります。
また、家庭と仕事の両立ができて上手くバランスがとれることで、心身ともに健康な状態を維持することができ、仕事へのモチベーションを保ちやすくなります。
テレワークの導入
自宅やコワーキングスペースなど、好きな場所で仕事ができるように
テレワーク制度を整えるのも、働き方改革の取り組みのひとつです。
出社をせずに自分の好きな場所で仕事ができて、通勤時間を家事や趣味の時間などにあてるなど、時間的な自由度が高まるのが大きな魅力です。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革における助成金を紹介していきます!
参考▶︎厚生労働省HP
労働時間短縮・年休促進支援コース【締切済】
2020年度から、中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されています。
労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に向けた助成です。
対象事業主
支給対象となる事業主は、次の3つすべてに該当する必要があります。
- 労働者災害補償保険の適用事業主である
- 交付申請時点で、後述の「成果目標」の設定に向けた条件を満たしている
- すべての事業場で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
さらに、以下の成果目標から1つ以上を選択し、すべての事業場で達成を目指す必要があります。
成果目標
下記の成果目標から1つ以上を選択して実施しましょう!
- 2022、2023年度に有効な36協定で、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、または月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出る
- 年次有給休暇の計画的付与制度を新たに導入する
- 時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入する
- 交付要綱で規定する特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇
- 新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇)のいずれか1つ以上を新たに導入する
上記の成果目標に加えて、
指定する労働者の時間あたりの賃金額を3%以上または、5%以上の賃金引き上げを成果目標に加えることができます。
助成額
助成額は、以下1~3の上限額および4の合計額、または対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い方となります。助成額は最大で490万円です。
- 成果目標1の上限額:事業実施前と後に設定する時間外労働と休日労働の合計時間数に応じて50万~150万円
- 成果目標2の上限額:50万円
- 成果目標3、4の上限額:それぞれ25万円
- 賃金引き上げの達成時の加算額(引き上げ人数と引き上げ率で変動)
勤務間インターバル導入コース
勤務間インターバルとは・・・健康保持や過重労働の防止のために勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで、2019年度から、制度の導入が努力義務化されました。
支給対象者
支給対象となる事業主は、次の5つすべてに該当する必要があります。
- 労働者災害補償保険の適用事業主である
- 勤務間インターバルを導入していない事業場(※1)既に休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場(※2)、既に休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場(※3)のいずれかに該当する事業場を有する事業主である
- すべての対象事業場で、交付・支給申請時点で、36協定が締結・届出されている
- すべての対象事業場で原則、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある
- すべての対象事業場で、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
成果目標
支給対象となる取り組みは、以下の成果目標の達成を目指す必要があります。
さらに、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上または、5%以上で賃金引き上げを行うことを成果目標に加えることができます。
1. 新規導入(※1に該当する場合)
新規に所属労働者の半数を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入すること
2.適用範囲の拡大(※2に該当する場合)
対象労働者の範囲を拡大し、所属労働者の半数を超える労働者を対象とすること。
3.時間延長(※3に該当する場合)
所属労働者の半数を超える労働者を対象として休息時間数を2時間以上延長して、9時間以上とすること。
助成額
成果目標の達成状況に応じて、助成対象となる取組の実施に要した経費の一部を助成します。助成額は最大で340万円です。
助成額は休息時間数や成果目標によって変わるほか、賃金引き上げの達成時の加算額(引き上げ人数と引き上げ率で変動)もあります。
労働時間適正管理推進コース
2020年度から、賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されています。生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成するものです。
支給対象者
支給対象となる事業主は、すべての対象事業場で、次の5つに該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主である
- 交付決定日より前の時点で、勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していない
- 交付決定日より前の時点で、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていない
- 交付申請時点で、36協定が締結・届出されている
- 交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
成果目標
成果目標としては、次の3つすべてを達成する必要があります。
- 新たに勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用する
- 新たに賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則等に規定する
- 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施する
上記の成果目標に加えて、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上または、5%以上で賃金引き上げを行うことを成果目標に加えることができます。
助成額
目標達成時の上限額および賃金引き上げの達成時の加算額の合計額、
または対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い方となります。
助成額は最大で340万円です。
最後に
働き方改革を行うと、企業・従業員双方にとってメリットがあります。
国からも補助金制度が用意されているので、
効果的に使って働きやすい環境づくりに役立てましょう!