採用するのにもコストはかかる
国や自治体が後押ししている施策だからとはいっても、企業はあくまでも営利団体です。
雇用にあたって人件費もかかるので、何かしらのメリットがないと安易に採用はできないと思います。ましてや新卒ではなく、中途採用ならなおさら…
したがって、今回の記事では
①就職氷河期世代とは?
②就職氷河期世代を採用することのメリットとは?
③助成金の概要
の順にお伝えしていきます。
就職氷河期とは?
就職氷河期ってなに?
就職氷河期世代とは、日本でバブル崩壊後に正規雇用労働者として就職ができなかった年齢層の人々、時期を指しています。
年齢で言うと、具体的に35歳以上55歳未満の方が対象です。
本来、労働者の募集・採用の際に、原則として、年齢制限を禁止して いますが、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)に限り、 募集や採用することが可能になっています。
バブル崩壊後の1993年~2004年ごろに高校や大学を卒業した世代で、その数は約1700万人。「団塊ジュニア」の世代とも重なるために人口が多いようです。
2008年秋のリ-マンショックで企業が新卒採用を絞った影響で、新卒時には就職できず、その後も正規で働けない人が多い。
現在、彼ら・彼女たちらがこのまま高齢化すると、十分な年金を受け取れず、生活が困窮するのではないかと懸念されています。
就職氷河期世代を雇用するメリット3選
(1)人手・労働力不足の解消
1つ目のメリットは人出・労働力不足の解消につながる点です。
多くの企業が慢性的な労働力不足が課題となっていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって雇用環境は一変しました。
リストラなんて考えられなかった企業が、コロナによる売上高減少のために派遣、そして正社員もリストラ勧告せざるを得なかったり…
しかし、こうした状況はある意味、一過性のものとも言えます。
新型コロナウイルス感染症の猛威が過ぎ去れば、新たな日常がくるので、少子高齢化社会で労働力人口が減る日本社会にあっては、再び人手不足が経営課題に上がってくるはずです。
しかし違うのが就職氷河期世代。
団塊世代の子ども世代(第2次ベビーブーム世代)を含んでおり、総人口から見ても、人口ボリュームが大きいのです。
さらに、新卒入社の数が制限した企業も多いため、より良い仕事を渇望する人も多く、この世代を対象に人材募集を行えば、多くの応募者が集まることが想定されます。
(2)ベテランと若手の間の架け橋となって活躍できる
2つ目のメリットはベテランと若手の仲立ちとして活躍する点です。
コミュニケーション問題改善になります。
現在の30代後半から50代前半の人たちが生きてきた環境は、次のの2つの変化がありました。
- ITの劇的な進歩
- 日本的雇用慣行の衰退
この2つを経験している就職氷河期世代は、50代以上のベテランと20代から30代前半の若手の仲立ちとしての活躍が期待できるでしょう。
- コミュニケーション課題解決
また、2010年代後半の雇用環境が改善していた時期に採用した20代の若手社員が多い職場になると、職場内における世代間コミュニケーションに課題があるケースを見受けることがあります。
20代から30代前半の若手社員と、50代を超えるベテラン社員とでは、価値感などの世代ギャップなどが少なからずあります。
働き方に対する価値観だったり、今ではごく当たり前に使うITツールや新しいコミュニケーションツール、はたまた共通の話題なども、ズレが生じることもあるでしょう。
就職氷河期世代はまさに若手社員とベテラン社員の間に入って、組織の緩和剤、架け橋、仲介人になることができるのです。
(3)多様な経験が企業の成長にも繋がる
3つ目のメリットは多様な経験が企業の成長にも繋がる点です。
具体的には中途採用することで、今まで別の業界・会社で働いていたノウハウも活かしてもらうことができます。
また、就職氷河期世代は雇用環境においても、多様な経験を積んできています。
1990年代後半から派遣労働市場が広がり始め、2000年前後には多くの若者が不本意ながら非正規労働に就かざるを得ませんでした。
また、核家族化や都市部への人口集中などを背景にして、男女共同参画・共同活躍が進み、「共働き」のような子育てや介護をしながら働くことやワークライフバランス、働き方改革が推進されてきました。
そうした環境変化の中で、好む好まざるを得ず、様々な経験を積んできた苦労人がたくさんいます。
「労働意欲はあるのに希望業種の正社員になれなかった」
ぜひそういった方たちを採用することにメリットはあると思います。
特定求職者雇用開発助成金の概要
今回ご紹介するのは
特定求職者雇用開発助成金の中の「就職氷河期世代安定雇用実現コース」
になります。
助成金の目的
いわゆる就職氷河期に就職の機会を逃したことなどにより十分なキャリア形成がなされず、正規雇用労働者としての就業が困難な方を支援し、その就職を促進するため、対象者を正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して支給されるものです。
対象者となる労働者
つぎの①~④のすべてに当てはまる方が対象です。
① | 雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満の方 |
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② | 雇入れの日の前日から起算して過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない方 |
③ | ハローワークなどの紹介の時点で失業しているまたは非正規雇用労働者である方でかつ、ハローワークなどにおいて、個別支援等の就労に向けた支援を受けている方 |
④ | 正規雇用労働者として雇用されることを希望している方 |
対象となる事業主
つぎの①~⑥のすべてに当てはまる方が対象です。
① | 雇用保険の適用事業主であること |
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② | 対象労働者をハローワークなどの紹介によって正規雇用労働者として、かつ雇用保険の一般被保険者(一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者を除く。)として雇用することが確実であると認められること |
③ | 対象労働者の雇入れ日の前後6カ月間(以下「基準期間」という。)に、事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む。)をしていないこと |
④ | 対象労働者の雇入れ日よりも前に特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から過去3年間に、その助成対象期間中に事業主の都合により解雇等をしていないこと |
⑤ | 基準期間に、倒産や解雇など特定受給資格者となる離職理由で離職した被保険者数が、対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職者が3人以下の場合を除く。) |
⑥ | 対象労働者の出勤状況や賃金の支払い状況などを明らかにする書類を整備・保管していること(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など) |
助成上限額
出典:特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)のご案内PDF
申請の流れ
出典:特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)のご案内PDF
問い合わせ先(送付先)
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事では、
- 就職氷河期世代とは?
- 就職氷河期世代を採用するメリット
- 特定求職者雇用開発助成金「就職氷河期世代安定雇用実現コース」概要
についてご説明しました。
そして主に中小企業対象の補助金・助成金をご消化している本サイトですが
今回は大企業も助成金が貰える対象です。
人手不足はもちろん、ノウハウ不足や
補足として、社内に中堅社員がいない企業様なども
ぜひこの助成金を上手に活用し、採用活動をしてみてはいかがでしょうか?
せっかく申請するなら助成金を受け取りたいですよね!
申請したいけど、申請の仕方がわからない…
書類の書き方が不安…
自分が該当しているのか自信がない…
少しでも不安がある方は、ぜひご相談ください!
最後までお読みいただきありがとうございました!