少子高齢化が進む日本では、人材不足になやむ業界がたくさんあります。
なかでも建設業で働く人の数は、2021年にはピーク時に比べ約30%減少するなど、
長い間深刻な人材不足になやまされています。
このままでは人材不足からやむをえず事業縮小
あるいは廃業しなければならない会社もでてくるかもしれません。
建設業の経営者の方は、この人材不足に関わる問題をなんとかしなければ!
と危機感を持たれている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、建設業の人材不足の現状や解決策、建設業者が若者や女性の雇用促進や
定着率アップに取り組んだときに活用できる助成金について紹介します!
助成金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
建設業の人材不足の現状
大きく2つの原因があります。
- 若い人材が働きたがらない
- 就職しても辞めてしまう
若い人材が就職したがらない「入口」での問題
せっかく就職した人も多くが辞めてしまう「出口」での問題
が人材不足を引き起こしています。
若い人材が入口から入ってこないということは、建設業界では退職する人の方が多くなり、
高齢化が進み、次の世代の人材が不足するということです。
2022年の総務省労働力調査によると、建設業界では55歳以上の就業者が約35%を占め、
29歳以下は12%にとどまっています。
人材不足になっている理由
若い人材が建設業を敬遠する原因としてもっとも深刻なのが、
建築業につきまとうマイナスイメージです。
若い世代にとって建設業は「きつい、きたない、危険」のいわゆる
3Kのイメージが先行しています。
そして近年ではさらに「厳しい・帰れない・給料が安い」の意味が加わってしまいました。
さらに、せっかく採用しても辞めてしまう、という問題も大きいのです。
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、
高校を卒業して建設業へ就職した人の3年以内離職率は45.8%となっています。
建設業界の若手の人材はせっかく採用し、手間ひまかけて育ててきたにも関わらず
3年以内には半数近くが辞めてしまうのが現状です。
辞めてしまう原因としては、長時間労働や休日の少なさがあげられます。
建設業の人材不足の解決策
このような問題を解決するために、主に以下の解決策が考えられます。
- 建設業界のイメージアップ
- かっこいいイメージにする
- 女性活用の推進
建設業界のイメージアップ
若い人材が建設業から遠ざかってしまう理由の中で大きなものが、
建設業界にまつわるイメージではないでしょうか。
3Kや怖い人が働いていそう、といった悪いイメージの払拭が必要です。
かっこいいイメージにする
悪いイメージを刷新するため、昔ながらの作業服ではなく、
かっこいいユニフォームを支給する会社も増えてきています。
富山県の会社では、デニム風素材でかつ、伸縮性や撥水性などの機能面や快適性にも優れ、かっこいいスポーティさが目を惹くユニフォームへと変更しました。かっこいいユニフォームでテキパキと工事を仕上げるスペシャリスト集団の姿は、近隣の方の目をひき、見られることで従業員の仕事のモチベーションアップにもつながっているそうです。
きついイメージの払拭
- 週休2日制の推進
- 社会保険の加入
- 福利厚生の充実
- 仕事の内容に対応した賃金
- 能力や資格を反映した賃金
休みがとりにくい・福利厚生が不安・体力勝負なので長く続けられる自信がない
などといったイメージを払拭するのは重要だとわかります。
国土交通省の「建設業の働き方として目指していくべき方向性」では、
企業に対して「若年技能労働者を定着させるための取り組み(複数回答)」
のアンケート調査を行っています。
この調査の結果をみると、若年技能労働者の定着をすすめることに成功した会社が
おこなった取り組みが分かります。
女性活用の推進
建設業全体の就業者数は減少していますが、女性の数は上昇傾向です。
とはいえ、総務省「労働力調査」によると2021年の女性比率は17%と
全産業平均の45%と比べると低いのが現状です。
せっかく増えてきた女性比率をもっと高め、女性従業員の定着率を上げることで
人手不足の解消をもう一歩進めることができるのではないでしょうか。
女性従業員の定着率を上げるためには
それには建設業界のイメージの刷新に加え、女性が働きやすい環境を整えることが必要です。
・女性用のトイレの設置
・女性用の更衣室の設置
・妊娠・出産休暇制度の導入
などがあげられます。
大手ゼネコンではベビーシッター補助が出たり、看護休暇などの制度が設けられたりしています。
中小企業などでは普及はまだこれからというところですが
大手でこのような動きが広がっていることから、いずれは業界全体に広がるかもしれません。
このように、業界全体で女性活用を盛り上げようという動きがあります。
現場に「けんせつ小町」がふえれば、職場環境の改善もすすみ、
イメージアップにもなり、より多くの女性にアピールできるのではないでしょうか。
最後に、建設業界の方が人材不足を解決するために使える助成金をご紹介します!
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
このコースは、魅力ある職場づくりの取り組みを行い、
若年齢者や女性の労働者の確保・定着を図った建設業界の会社が対象です。
助成金の対象となる取り組み
助成金を受け取るには、年間を通じた計画を策定し、
計画に従って下記1―6のいずれかの取り組みを実施することとなっています。
建設事業の役割や魅力を伝え、理解を促進するための啓発活動等に関する事業
現場見学会、体験実習、インターンシップ 等
技能の向上を図るための活動等に関する事業
入職内定者への教育訓練、新規入職者への研修会 等
労働災害予防等のための労働安全管理の普及等に関する事業
工事現場の巡回、災害調査の記録、期間雇用労働者の健康診断 等
技能向上や雇用改善の取組についての奨励に関する事業
表彰制度 等
雇用管理に関して必要な知識を習得させる研修等の実施または受講に関する事業
雇用管理研修の実施・受講等
女性労働者の入職や定着の促進に関する事業
優良な女性労働者に対する表彰制度、女性労働者の産休や育休からの復職を目的とした教育訓練や研修の実施 等
対象者
建設事業主に1か月以上1年未満の期間を定めて雇用されている人
作業員宿舎の管理及び炊事の業務を専業としている者も含む
助成額
中小建設事業主:支給対象経費の5分の3
上記以外:20分の9
研修などの受講に関しては対象者1人当たり:8,550円/日
手続き
①計画書の届け出
事業を実施しようとする日の原則2か月前までに、必要書類一式を主たる事業所の所在地を管轄する労働局に提出
②支給申請
計画届の提出後、魅力ある職場づくりの取り組みを実施し、下表の提出期限までに、支給申請書に必要な書類を添えて、管轄の労働局へ支給申請します。
③支給申請の時期は事業の終了月に応じて、年4回設定
1~3月終了:5月末日まで 等
【まとめ】ぜひ助成金を活用しましょう!
人材不足の問題が深刻で、事業の縮小や廃業も考えなければならないかもしれない
という危機感をもっている建設業界の経営者の方は多いと思います!
若い人材や女性にも一緒に働いてもらうには、職場環境などの整備が必要です。
費用がかかるから無理、と諦める前にぜひこの助成金の活用をお考えください!