子育てをしながら働く女性が増え、
育児休暇や時短勤務などサポート体制づくりに取り組む企業が増えています。
一方で、長時間労働や両立支援制度が整っておらず、やむを得ず離職する人も。
また昨今、男性の育児休暇取得が推奨されていますが、取得率は14%ほどと低く
「子育てしながら働きやすい社会」とはまだ言えないのが現状です。
では、仕事と子育てを両立させるために
企業ができる取り組みにはどのようなものがあるでしょうか?
こちらの記事では
- 子育てと仕事の両立の課題
- 課題解消のために企業が取り組むべきこと
- 子育てサポート企業を認定するくるみん制度
- 就労環境整備に利用できる、くるみん助成金
について解説します。
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
仕事と子育ての両立の課題とは
夫婦共働きが当たり前の光景となり、
小さい子どもを育てながら働く女性の姿も珍しくなくなりました。
しかし働きながら子育てしやすい環境の整備は追いついていないのが現状です。
以下では
- 仕事と子育て、両立の現状
- 課題解消のために、企業が取り組むべきこと
について解説します。
仕事と子育て、両立の現状
出産後も働く女性は年々増えています。
特に正規職員として働く女性は就業継続率が高く、
10年前と比べて10%以上も高い数字となっています。
出典:厚生労働省「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」
育児休暇を利用しながら働く女性は増えていますが
男性の育児休業取得率は約14%と低い結果となっています。
育児休業の期間についても、半数以上の人が2週間未満と
非常に短期間しか休暇を取得していません。
子育てしやすい就労環境作りに取り組む企業は増えていますが、
- 女性の負担が大きい
- 子育てしながら働ける環境が整備されていない
など、子育てと仕事の両立には課題が残されています。
課題解消のために、企業が取り組むべきこと
仕事と子育ての両立がしやすい環境整備には、以下のような取り組みが必要です。
- 育児休暇が取りやすい雰囲気であること
- 企業内に保育施設があること
- リモートワークや時短勤務など柔軟な働き方ができること
育児休暇の制度の整備はもちろん、
休暇を取得しやすい雰囲気が社内にあることが重要です。
子育て世代以外の理解を得るためにセミナーを開いたり
病気休暇など従業員全員が利用できる休暇制度を作るなど
休むことに対する抵抗感を減らす取り組みをすると良いでしょう。
また企業内に保育施設を設けたり、時短勤務を取り入れることで
職場と保育施設の移動時間が削減でき、働きやすさの向上につながります。
くるみんとは
くるみんとは、子育てサポートを行う企業の認定制度のことです。
男性の育児休暇取得率や女性の継続就業など、10項目の基準を満たすと
厚生労働大臣からくるみん認定を受けることができます。
くるみんには以下の3種類があります。
- くるみん
- プラチナくるみん
- トライくるみん
どのくるみんに認定されるかは、
- 男性従業員の育児休業取得率が何%だったか
- 育児中の女性のキャリア支援に取り組んでいるか
などで決定されます。
企業がくるみん認定を受けるメリット
くるみん認定を取得すると、3つのメリットがあります。
- 助成金が受給できる
- 子育てサポート企業としてアピールできる
- 低金利で融資が受けられる
それぞれのメリットについて解説します。
助成金が受給できる
くるみん認定を受けた企業は「くるみん助成金」の申請ができます。
助成金は
- 従業員の給与
- 各種手当
- テレワークの導入費用
などに利用できるため、子育て世帯の労働環境を整備したいが費用の負担が気になる
という企業はぜひ活用したい制度です。
子育てサポート企業としてアピールできる
くるみん認定を受けることで、子育てと仕事の両立がしやすい企業として
イメージアップにつながります。
認定を受けると、自社ホームページや求人広告にくるみん認定マークが利用できるため、
子育て中の女性やワークライフバランスを重視する若い世代の応募者の増加
が期待できるでしょう。
低金利で融資が受けられる
くるみん認定を受けた企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」が
低金利で利用できます。
働き方改革推進支援資金は、業務効率の向上や多様な人材の活用を推進する中小企業が
利用できる融資制度です。
くるみん認定を受けた企業の取り組み事例
子育てと仕事の両立で課題になっている点やくるみん認定の
メリットについて解説しました。
では、くるみん認定を取得している企業は、
どのような取り組みを行っているのでしょうか?
以下では具体的な取り組みについて、
くるみん認定企業の中からピックアップしてご紹介します。
職場環境を整えて女性の採用率がアップ「(株)青森ダイハツモータース」
軽自動車販売がメインの青森ダイハツモータースでは、主要ターゲットである女性の
顧客満足度向上のため、女性従業員を増やしたいと考えていました。
そこで女性が働きやすい環境づくりへの取り組みをスタート、
- 半休有給休暇制度を導入し、柔軟に休暇を取得できる体制づくり
- 復職前面談で、仕事復帰後の不安な部分をサポート
- こども参観日で働くパパママの姿を子どもに見てもらうイベントを開催
などの取り組みを行い、育児休業後の復職率は100%を達成。
くるみん認定を受けて以降、女性の採用者が増加しています。
仕事の俗人化を解消して働きやすい職場へ「(株)グローバル・クリーン」
清掃業を行うグローバル・クリーンでは「清掃業は大変なのに薄給」という
マイナスのイメージを払拭するため、子育て中の人や障がいのある人も働きやすい
環境整備に力を入れています。
- 大型機械を男性だけでなく、女性も扱えるようOJTを実施
- 仕事をチーム制にし、欠員が出ても補える体制づくり
- 従業員が休みやすい環境の整備
などを行い、仕事をチーム制にしたことで、業務の俗人性が解消。
子育て世代だけでなく、高齢者や障害のある人も働きやすい環境が整いました。
取り組みがメディアに取り上げられた効果もあり、
新卒採用では毎年100名以上の応募があります。
くるみん助成金
くるみん認定を受けた企業は、最大で50万円の助成金が受給できます。
助成金を活用して、職場環境の改善に取り組みましょう!
対象となる事業主
- くるみん認定・くるみんプラス認定企業
- プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業
- 次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主(常時雇用する労働者数300人以下)であること
対象事業
中小企業において、労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために
必要な雇用環境の整備を行う事業。
- 労働者の育児休業等の取得を促進するための取組
- 労働者の子育てを支援するための取組
- 労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取組
- その他労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取組
対象経費
対象となる事業の実施に要する経費は、以下の条件を満たすものが対象です。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できるもの
- 令和5年4月1日以降に実施し、令和6年2月29日までに支払いが完了する事業の経費
- 根拠資料によって金額・支払等が確認できるもの
- 本助成事業以外の補助金等の支給を受けていない経費であること
対象経費リスト
- 職員給与
- 各種手当
- 社会保険料事業主負担金
- 厚生費等(役員報酬を除く)
- 諸謝金
- 備品費(単価50万円以上の備品を除く)
- 消耗品費
- 印刷製本費
- 通信運搬費
- 光熱水料
- 借料及び損料
- 会議費
- 賃金
- 雑役務費及び委託料
※消費税相当額を除く
助成額
助成額:50万円を上限に審査により助成額を確定します。
- くるみん認定・くるみんプラス認定企業: 1回の認定につき1回
- プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業: 1年度毎に1回
申請受付期間
前期:令和5年5月26日(金) ~ 令和5年9月15日(金)
後期:令和5年10月20日(金)~ 令和6年2月15日(木)
※予算の上限に達した場合は、期間内でも終了することがあります。
申請の流れ
- 認定取得
- 助成金申請
- 審査
- 決定通知
- 事業の実施
- 完了報告
- 審査
- 確定通知
- 助成金の請求
- 交付
まとめ
仕事の俗人性を下げる、休暇を取りやすくするなどの取り組みは、
子育て世代だけでなく、従業員全体が働きやすい環境づくりにつながっています。
人手不足に悩んでいる企業にとっては、
イメージアップすることで人材の獲得につなげられる効果も期待できるでしょう。
補助金は最大で50万円支給されます。
職場環境の整備にぜひ役立てましょう!