「製品やサービスの質を維持・向上させたい」
「生産性を上げたい」
「事業拡大して新たな分野に進出したい」
と考えたとき、将来にわたって活躍できる人材を育てることが必要になります。
その際、「職務に必要な能力とは何か」「いつまでにどのレベルに達してほしいか」などの計画的な人材育成が必要になります。
そこで活用できるのが人材開発支援助成金です。
今回は、人材開発支援助成金について解説していきます!
ぜひ参考にしてください!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
人材育成が必要な理由
人材育成への積極的な取り組みは、従業員のキャリア形成や能力アップはもちろんのこと、従業員の職場定着促進、ひいては、安定的な企業運営にもつながっていきます。
厚生労働省では、正社員経験の少ない パートやアルバイトなどの有期契約労働者等の正社員転換または処遇改善を目的として、
事業主が、有期契約労働者に対して、計画に沿って訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度を実施しています!
ぜひ、人材開発支援助成金を積極的にご活用ください!
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)とは・・・職業経験のない新卒者や正社員の経験の浅い中途採用者を有期雇用契約で雇用して、OFF-JTやOJTを実施することで助成金の対象になります。
OFF-JT・・・外部の研修機関などで業務に関する座学を受講
OJT・・・社内で先輩などに実務を教わる
支給額・支給限度額
次に、支給額・支給限度額について見ていきましょう!
OFF-JT分の支給額
※ eラーニング・通信制による訓練及び育児休業中の者に対する訓練等は経費助成のみとなります!
OJT分の支給額
有期実習型訓練 | 10万円(大企業 9万円) |
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生産性要件を満たすと 13万円(大企業 12万円) |
経費助成限度額
支給対象:一般職業訓練、有期実習型訓練
20時間以上100時間未満 | 15万円(大企業 10万円) |
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100時間以上200時間未満 | 30万円(大企業 20万円) |
200時間以上 | 50万円(大企業 30万円) |
対象となる訓練
有期契約労働者等に対し、正規雇用労働者等に転換、または処遇を改善することを目指して実施するもので、以下1と2のいずれかの訓練が対象になります。
➀ 一般職業訓練
OFF-JTであって、次の(1)から(3)のすべてに該当する職業訓練
- 1コース当たり1年以内の実施期間であること
- 1コース当たり20時間以上の訓練時間数であること
- 次のa.bのいずれかに該当する訓練であること
a. 事業内訓練
- 自社で企画・主催・運営する訓練計画により、次のいずれかの要件を満たす社外より招いた外部講師により行われる訓練等
- 自社で企画・主催・運営する訓練計画により、次のいずれかの要件を満たす自社従業員 である部内講師により行われる訓練等
b. 事業外訓練
社外の教育訓練機関に受講料を支払い受講させる訓練等(次に掲げる施設に委託して行うもの)
- 公共職業能力開発施設、職業能力開発総合大学校、職業能力開発促進法第15条の7第1項に規定する職業訓練を行う施設、認定職業訓練を行う施設
- 助成金の支給を受けようとする事業主以外の事業主・事業主団体の設置する施設
- 学校教育法による大学等
- 各種学校等
- その他職業に関する知識、技能、技術を習得させ、向上させることを目的とする教育訓練を行う 団体の設置する施設
育児休業中訓練の場合
一般職業訓練として、労働者の自発的な申し出により育児休業期間中に実施する職業訓練 を行う場合、
OFF-JTであって、次の(1)から(3)のすべてに該当する職業訓練
- 1コース当たり1年以内の実施期間であること
- 1コース当たり
20時間以上の訓練時間数であること→10時間以上 - 次のa.bのいずれかに該当する訓練であること
10時間以上の訓練時間であることが要件となります。
中長期的キャリア形成訓練の場合
一般職業訓練として、専門実践教育訓練を活用する職業訓練である場合には、以下の点に ついて一般職業訓練の要件と異なります。
OFF-JTであって、次の(1)から(3)のすべてに該当する職業訓練
- 1コース当たり
1年以内の実施期間であること→1年以内に限らない - 1コース当たり20時間以上の訓練時間数であること
- 次のa.b(事業内訓練or事業街訓練)のいずれかに該当する訓練であること→専門実践教育訓練or特定一般教育訓練の指定講座であること
専門実践教育訓練or特定一般教育訓練の指定講座であれば、 実施期間は1年以内に限りません。
専門実践教育訓練or特定一般教育訓練の指定講座である必要があります。
専門実践教育訓練及び特定一般教育訓練はこちらを参考にして下さい!
➁ 有期実習型訓練
正社員経験が少ない有期契約労働者等を対象に、
正規雇用労働者等への転換を目指す➀一般職業訓練③に規定する
OFF-JTであって、次の(1)から(3)のすべてに該当する職業訓練
- 1コース当たり1年以内の実施期間であること
- 1コース当たり20時間以上の訓練時間数であること
- 次のa.b(事業内訓練or事業街訓練)のいずれかに該当する訓練であること
OFF-JT+適格な指導者の指導の下で行うOJTを組み合わせて実施する職業訓練
【主な訓練基準】(訓練基準に適合する訓練カリキュラムを作成する必要あり)
- 企業でのOJTと教育訓練機関などで行われるOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
- 実施期間が2か月以上6か月以下であること
- 総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
- 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること(OFF-JTは20時間以上)
- 訓練修了後にジョブ・カード様式3-3-1-1:企業実習・OJT用により職業能力の評価を実施する こと
ジョブカードとは?
- 「キャリア・プランシート」
- 「職務経歴シート」
- 「職業能力証明シート」
という3種類のシートに大きく分けられます。
③の訓練成果・実務成果シートは、訓練の成果を評価するシートであり、事業主があらかじめ訓練の評価項目を設定し、訓練修了後に評価項目に沿って訓練生を評価します。
ジョブ・カード様式の入手はこちら
変更ポイント
人材開発支援助成金の要件や助成額が、今年変更になっています。
その変更ポイントと変更のメリットとデメリットについて解説していきます。
OJTの助成額の変更
現行:OJTを実施した時間単価760円支給
例:OJTを6カ月間で900時間実施した場合、760円×900時間=684,000円
変更後:OJTを実施した1訓練あたり定額10万円支給
例:OJTを6カ月間で900時間実施した場合、100,000円のみ
助成対象訓練の変更
現行:職業または職務の種類を問わず職業人として共通となる訓練(接遇・マナーなどの内容)
→職務に関連した内容に限り制限なく実施可能
変更後:職業または職務の種類を問わず職業人として共通となる訓練(接遇・マナーなどの内容)
→訓練時間数に占める割合が半分未満であることに制限
計画届け提出時の書類変更
・有期実習型訓練に係る訓練カリキュラム→令和4年〜新たな様式に変更
・有期実習型訓練に係る訓練計画予定表→廃止
メリット・デメリット
変更点を踏まえたメリットデメリットについて考えてみます。
OJTの金額の定額制
メリット | 面倒な計算がなくなった |
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デメリット | 訓練時間が長くても短くても助成金は変わらない |
有期実習型訓練に係る訓練計画書の廃止
メリット | 細かい毎月の訓練時間数の決定・時間数の計算の必要がなくなり、簡素化された |
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助成対象訓練の変更
デメリット | 接遇やマナーなどの一般共通となる内容の訓練は訓練時間の半分未満にするように考える必要がある |
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令和4年4月以降の訓練期間は、長くても短くても助成金の金額は変わりません。
そのため、2カ月〜6カ月で訓練期間を設定できますが、
最短の2カ月を訓練期間として設定するのがオススメです!
最後に
人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)について解説しました。
今年度の変更で若干のデメリットはあるものの、人材育成するにあたっては、活用できる助成金になります。
ぜひこの機会に利用を検討してみませんか。