「労働時間を適正に管理するにはどうしたらいいの?」
「勤怠管理システムの導入に利用できる補助金が知りたい」
とお悩みの事業者の方、必見です!
従業員の労働時間や有給取得などの労働状況を正しく把握することは、
企業運営に必須の取り組みです。
在宅勤務やフレックスタイム制など、柔軟な働き方が進む中で、
早急に労働管理の体制を整える必要があります。
では、従業員一人ひとりの労働時間は、どう管理するのが適正なのでしょうか?
この記事では
- 労働時間の適正管理が必要な2つの理由
- 労働時間を適正に管理するために必要なこと
- 労務管理の環境整備に利用できる助成金
について解説します!
補助金のお話は細かいし、難しくてわかりづらい用語も多いですよね!
そこで私が簡単な補足などをいれていきますね。
労働時間の適正管理が必要な2つの理由
労働時間管理の取り組みは、
「なぜ適正管理が必要なのか」理解することからはじまります。
以下では、企業が従業員の労働時間を適正に管理するべき2つの理由を解説します。
労働時間の管理は企業の義務だから
従業員の労働時間を管理することは、法律で企業に義務付けられています。
2019年に改正された「労働安全衛生法」では、
・企業は厚生労働省によって定められた方法で、客観的な記録による従業員の労働時間の把握をすること
・また記録の保存期間は3年間とする
以上のことが義務づけられました。
労働時間を巡るトラブルを防ぐため
労働時間を適切に管理することは、企業と従業員のトラブルを防ぐ効果があります。
「労働時間とは何か」を巡って起きた3つの裁判を事例に見ていきましょう。
三菱重工業長崎造船所事件
三菱重工では、着替え・準備体操・片付けなどの時間は労働時間ではない、
と就業規則に記載していました。
しかし従業員が「これらは労働時間である」と裁判を起こし、勝訴しました。
大星ビル管理事件
24時間体制でビルの警備を行う会社の従業員が
「夜勤中の仮眠時間は労働時間である」と提訴。
裁判所は「仮眠時間内にも必要な場合はすぐ作業に取り掛かることが義務付けられており、
労働から離れることが保障されていない」として
仮眠時間も労働時間であるという判決を下しました。
大林ファシリティーズ事件
マンションに管理人として住み込みで働く夫婦が、
所定の労働時間外や休日にも住民に対応を求められるため、
これらも労働時間として賃金を支払って欲しいと提訴。
住民の要望や会社からの指示によって、
労働時間外にも待機せざるを得ない状態であった部分について「これらも労働時間である」
という判決となりました。
適正管理をするために必要なこと
従業員の労働時間が管理できていないと、不必要な残業代が発生したり、
従業員とトラブルになるなど、会社に不利益が発生することもあります。
では、適正に労働時間を管理するには何が必要なのでしょうか?
勤怠管理システムの導入
勤怠管理システムを導入すると、労働時間の管理が効率的に行えるようになります。
勤怠管理システムのメリット
- 給与計算と連動して業務が効率化できる
- 残業や有給の管理がスムーズになる
労働時間管理システムは給与計算ソフトと連携し、
働いた時間から給与を自動計算できる機能があります。
これにより労務管理の手間が減り、業務の効率化を図ることができます。
またシステムにアラート機能を搭載しているものは、
法律で定められた労働時間を超えないように従業員に通知を送る設定ができるものも。
労務管理を勤怠管理システムで行うと、
従業員の負担を減らして生産性が上がるメリットが期待できます。
研修やコンサルティングを受ける
労働時間の適切な管理には、外部講師による研修やコンサルティングを受けることも効果的です。
- 業務を効率化して不必要な残業を減らすことのメリットを、従業員が理解できるよう、研修を行う
- 労務管理のプロである社労士から、コンサルティングを受ける
特にテレワークやフレックスタイム制など多様な働き方を採用している企業では、
従業員の相互理解を深めるためにも、知識を深める場が必要でしょう。
働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース)
厚生労働省では労務や労働時間を適正に管理するための
環境整備に利用できる補助金を用意しています。
ぜひ活用して、労働時間を管理しやすい体制を作りましょう!
支給対象となる事業主
支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主です。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 全ての対象事業場において、勤怠(労働時間)管理と賃金計算等をリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用していないこと。
- 全ての対象事業場において、交付決定日より前の時点で、賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することが就業規則等に規定されていないこと。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、36協定が締結・届出されていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
支給対象となる取組
いずれか1つ以上実施してください。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
※研修には、勤務間インターバル制度に関するもの及び業務研修も含みます
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません
成果目標の設定
支給対象となる取組は、以下の「成果目標」1から3まで全ての目標達成を目指して実施してください。
- 全ての対象事業場において、新たに勤怠管理と賃金計算などをリンクさせ、賃金台帳等を作成・管理・保存できるような統合管理ITシステムを用いた労働時間管理方法を採用すること。
- 全ての対象事業場において、新たに賃金台帳等の労務管理書類について5年間保存することを就業規則等に規定すること。
- 全ての対象事業場において、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に係る研修を労働者及び労務管理担当者に対して実施すること。
上記の成果目標に加えて、対象事業場で指定する労働者の時間当たりの
賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることができます。
事業実施期間
交付決定の日から2024年1月31日(水)まで
支給額
取組の実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給
成果目標達成時の上限額:100万円
対象経費の合計額に補助率3/4を乗じた額を助成します(ただし上記上限額を超える場合は、上限額とします)
※常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組で6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
締め切り
申請の受付は2023年11月30日(木)必着
※11月30日以前に受付を締め切る場合があります。
まとめ
労働時間の管理は企業の義務ですが、しっかり取り組むことで
ムダな残業の削減や業務の効率化といったメリットにつながります。
新しく勤怠システムを導入したり、外部の専門家からコンサルティングを受けると、
刺激となって従業員の意識にも良い変化が起こるかもしれませんね。
補助金は最大で100万円支給されます。この機会にぜひ活用してみましょう!