新型コロナウイルス感染症の影響により、
不要不急の外出を自粛された2020年冬以降
旅行業界は大きなダメージを負った業界の1つと言えるでしょう。
そんな旅行業界の事業者さん必見の支援があります。
その名も、広域周遊観光促進のための観光地域支援事業
最大1000万円の補助をしてくれるこの支援の詳細と
実際の好事例もご紹介していきます。
インバウンドの現状
2020年の目標は失敗?
新型コロナウイルスにより観光業の状況は一変してしまいました。
当初の目標であった
「2020年に訪日客数年間4,000万人」は達成とはなりませんでした。
2023年の目標
今現在は
「2030年に訪日客数年間6,000万人」が目標となっております。
インバウンド産業の5つの課題
(1)環境に優しい観光の実現
航空機はCO2を多く排出する交通手段ですが、
島国である日本には、ほとんどの訪日客が飛行機を利用します。
現状、CO2を航空機以外の部分で削減するしかなく、
国内移動や滞在に係る環境負荷を削減する努力が産業全体として求められます。
(2)観光客の個々のニーズや好みに合ったサービス
一律のサービスではなく、観光客の個々のニーズや好みに合ったサービスが鍵であり、
そうしなければ、満足度や消費額は上がらないと思います。
そのためにはIoTの活用が必須ですが、その進捗が遅いことが指摘されております。
(3)オーバーツーリズムの問題
オーバーツーリズムの問題です。
オーバーツーリズム(Overtourism)とは、観光客が過剰に増加し、観光地の地域住民の生活や自然環境に悪影響を与えることです
もちろん、観光客は行きたいところに行くので、
他に行きたいところをつくらないと本質的には集中の問題は解消しません。
■日本の観光スポットの認知度の低さ
アジア圏からの訪日客が圧倒的に多いということはすなわち、
欧米豪からの訪日客を獲得しきれていないということになります。
その原因の1つは、日本の観光スポットの認知度がまだ高くないことです。
多言語でのプロモーションが多くないため、
地理的・文化的な距離が遠い欧米豪には
情報が届きにくくなってしまっています
また、日本の安い宿泊施設の情報が行き届かないために、
「日本旅行は高くつく」という誤った印象を持たれている、という仮説もあります。
20世紀後半、日本は「遠い、高い、分からない」国といわれ、日本へのインバウンドは大きく伸びることはありませんでした。
ほかの仮説としては、
おそらく依然としてファーストカマーが多いことが原因だと思われます。
中国でもファーストカマーがまだ半分以上を占めています。
なのでリピーターが増えれば、おのずと解消する可能性も考えられます。
(4)都会と地方の集客の差
都会と地方の集客の差です。
国民性も関係ありますが、
欧米豪の方は、言葉が通じなくても、ハグなどで分かり合ってしまう面がありますが、
対してアジアにはそれがありません。
また、アジアの方は、地方に行ってもその中心地に留まる傾向がありますが、
欧米豪では秘境感や素朴さに価値を見出す人が一定数います。
欧米豪は、来訪者数としては少ないのですが、
そのような方々に積極的にアピールすることで集客機会を増やしたいです。
(5)自然災害
地震大国である日本は自然災害が他国と比べて多いのは事実です。
ここ最近では新型コロナウイルスの影響でインバウンドは変動が大きく、
それに著しく地域経済が依存することは大きなリスクであると思われます。
日頃から地震対策など、備えられる部分は備えましょう。
観光地域支援事業について
旅行者の混雑や密を低減させつつ、国内外の旅行者の各地域への周遊を促進するため
観光地域づくり法人DMO が中心となり、地域が一体となって行う、調査・戦略策定、滞在コンテンツの充実、受入環境整備、旅行商品流通環境整備、情報発信といった取組に対して総合的な支援を行っています。
出典:国土交通省 観光庁 観光地域づくり法人(DMO)とは?
対象者
登録DMOが定めた事業計画に位置づけられた事業の実施主体(登録DMO、地方公共団体)
補助対象事業 5つ
登録DMOが定めた事業計画に位置づけられた、
国内外の旅行者の各地域への誘客を目的とした以下の取組を対象とします。
(ただし、地方ブロック毎に開催される連絡調整会議における調整を行ったものに限ります)
(1) 調査・戦略策定
(2)滞在コンテンツの充実
(3)受入環境整備
(4)旅行商品流通環境整備
(5)情報発信・プロモーション
補助率・上限額
■定額定額:上限1,000万円
(①調査・戦略策定)
■事業費の1/2
(②滞在コンテンツの充実、③受入環境整備、④旅行商品流通環境整備、⑤情報発信・プロモーション)
※継続事業については2年目:2/5、3年目:1/3
申請スケジュール
随時
※なるべくはやい申請がおすすめです
問い合わせ先(送付先)
観光庁 観光地域振興部 観光地域振興課 広域連携推進室
TEL:03-5253-8327
【実例】3選
(1)広大な自然をサイクリング(岐阜県飛騨市)
事例名 | サイクリングツアーによる地域活性化 |
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実施主体等 | SATOYAMA EXPERIENCE(岐阜県飛騨市) |
概要 | 外国人観光客向けのツアーを企画するSATOYAMA EXPERIENCEが、飛騨地域の自然や伝統、生活文化に触れることができる着地型旅行商品として飛騨古川の町を一周するサイクリングツアーを実施。 |
戦略 | 飛騨地域の伝統的な生活や文化に興味のある欧米豪の旅行客をターゲットに、里山に受け継がれてきた保存食の作り方や祭り、伝統行事等の情報を発信。 |
効果 | 旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」において、地方部アクティビティ領域で日本一となる1千件を超えるレビューを獲得し、その9割以上で最高評価を獲得。 スタッフの大半が都市部からの移住者であり、その家族等も含めて30~40 人が飛騨地域に移住しており、雇用創出・定住人口の確保にも貢献。 |
備考 | SATOYAMA EXPERIENCEを運営する㈱美ら地球では、サイクリングツアーのほか、冬季のスノーシューによるウォーキングツアーやローカルにこだわった宿泊事業等も実施。 |
(2)極寒を活かした冬季観光需要の喚起(青森県津軽)
事例名 | 冬季観光需要の喚起 -冬の極寒を逆手に取った観光誘客の取り込み- |
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実施主体等 | <地吹雪体験ツアー> 津軽地吹雪会 <奥入瀬渓流氷瀑ツアー> 十和田市、運営:(一社)十和田奥入瀬観光機構 <スキー場スノーアクティビティ体験エリア整備> 十和田市 |
概要 | 観光客の入込数が落ち込む冬季において、極寒を逆に利用する着地型旅行商品の開発や観光PRを実施し、旅行喚起、観光誘客を図る。 |
戦略 | <地吹雪体験ツアー> 地面に積もった雪が強風で舞い上がる津軽名物の「地吹雪」を実際に体験できる雪国ならではのユニークな着地型商品
<奥入瀬渓流氷瀑ツアー> 新緑、紅葉の観光シーズンを終えて観光客が減少する冬の奥入瀬・十和田湖エリアへの誘客を図るため、氷瀑や氷柱をライトアップして鑑賞するナイトバスツアーやネイチャーツアーなど、冬だからこその景色を観光素材化し商品化。
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効果 | 観光客が減少する冬季における旅行喚起、観光需要の底上げ |
(3)ただ歩いて楽しむからSNS映えに(石川県山中温泉)
事例名 | SNS映えする川床(水辺区間での休憩スペース)の設置 |
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実施主体等 | 鶴仙渓 川床(石川県加賀市山中温泉) |
概要 | 山中温泉の観光スポットの一つである鶴仙渓に、比較的簡単に設置できる川床を4~10月の間設置し、新しい観光スポットとして話題になっている。 |
戦略 | ・歩いて楽しむだけだった渓谷に、SNS映えする川床を設置。
・赤いパラソルと道場六三郎監修のスイーツで観光客をお出迎え。 |
効果 | SNSで話題となり、北陸の観光ポスターやPR誌の表紙に登場。 |
まとめ
旅行業界の事業者さん必見の支援
広域周遊観光促進のための観光地域支援事業
をご紹介しました!
今回の記事では、
・今のインバウンドの課題5つ
・最大1000万円の補助をしていくれるこの支援の詳細
・実際に支援を利用した好事例
をご紹介しました。
インバウンド産業も盛り上げていくべく
ぜひこのサポートを取り入れてみてはいかがでしょうか。
募集期間は「随時」なので、いつ終了かわかりません。
早めの申請がおすすめです!