昭和の日本を支えてきた全国の商店街も、
人口の流出や消費動向の急速な変化に伴い、著しい衰退が進んでいることはご存知の方が多いでしょう。
再び商店街に人を呼び戻す場合、どのような課題設定と解決策が求められるのでしょうか。
今回は、商店街の現状・商店街の活性化に必要な視点を解説して行きます。
商店街の活性化に求められる若者の開業を支援する助成金制度も紹介いたします!
ぜひ参考にしてください!
商店街の現状
地域が抱える課題として、「人口減少」、「少子高齢化」の次に回答数の多かった、「商店街・繁華街の衰退」について解説していきます。
まずは、商店街の歴史について概観していく。
商店街は、戦後復興期から高度成長期にかけて数を増やしてきました。
地域の一等地で商売をするなど、「町の顔」として存在しており、
- 祭りを開催するなど地域活性化の担い手
- 地域コミュニティを形成する「場」
として地域に貢献してきました。
その後、百貨店が台頭したことにより、商店街は百貨店とその地域内において競合することとなりました。
また、1973年以降「大規模小売店舗調整法」により、大規模小売店舗の出店が規制されてきましたが、1998年に成立した「まちづくり三法8」の一部である「大規模小売店舗立地法」において、商業規制から社会的規制へと転換が行われました。
加えて、モータリゼーションの進展もあり、郊外への大規模小売店舗の出店が進み、商店街を中心とする中心市街地は空洞化していきました。
近年では、情報技術の進展によりEC市場が拡大しており、リアル店舗とネット販売の競争も起こるなど、商店街の業況はますます厳しくなっていると考えられます。
下図は、商店街の空き店舗率の推移を示しています。
これを見ると、商店街の空き店舗の割合は、2003年に7.3%であったのが、2012年には14%を超えており、商店街がますます活力を失っているのが分かります。
また、商店街が抱える課題には下記が挙げられます。
例えば、「経営者の高齢化による後継問題」については、自治体や商工会などの協力を得ながら、地域活性化などを行うことにより、空き店舗の解消と若者の商店街への出店を促進することが可能です。
また、「集客力が高い・話題性のある店舗/業種が少ない又はない」・「店舗等の老朽化」については、長期間老朽化して空き店舗となっていたビルを賃貸ビルとして改装し、1階に知名度の高い店舗を入居させるなどで、新たな集客が生み出し、商店街の活性化に繋げることも可能です。
商店街は今も必要
上記で説明したように、スーパーマーケットやデパートが登場し、商店街の必要性は徐々に薄れていくこととなりました。
近年ではインターネット・ECサイトの台頭によって、商店街の存在意義がますます危ぶまれるようになってきています。
しかし、そんな中でも、商店街はまだまだ日本に求められていると考えている人は、少なくありません!
「多品種小量買い」は、その文字の通り多くの種類の品を買う代わりに、一人当たりで購入する商品のボリュームそのものは、少ないという購買傾向を指しています。
アメリカのような欧米社会では、日々の食料品購入は週に一度、大型のスーパーマーケットでまとめて購入することが一般的です。
というのも、毎日通える場所にスーパーがあるケースは珍しく、車で遠出しなければ買い物ができないためです。
一方で、日本では全国の至る所に商店街が設置され、徒歩圏内で生活に必要なものを全て揃えることができます。
そのため、一度に購入する量は少なくとも、毎日買い出しができるため、差し支えはありません。
また、商店街では、コンビニエンスストアやチェーンのスーパーマーケットとは異なり、お店ごとに、その商品のスペシャリストであるオーナーとコミュニケーションが取れる機会にも恵まれています。
買い物を一つの体験として有意義に過ごせる機会を提供してくれます!
日本特有の商店街文化は海外からの注目度も高く、コロナ禍以前は海外からの観光客からも評判の良いアクティビティとして、商店街散策が行われていました。
近隣住民の日々の生活を支えるプラットフォームとして、国内外から観光客を集める観光資源として、商店街は大きなポテンシャルを秘めています。
商店街の活性化に必要なこと
商店街の魅力や強みを最大限発揮するためには、いくつかの要点に絞って解決策を検討していく必要があります。
商店街の活性化に必要な視点として、以下の4点が注目されています。
個店としての魅力の見直し
商店街における各店舗の魅力の見直しが必要でしょう。
機能性や利便性を考えた場合、日本では全国に出店されているチェーン系のコンビニやスーパーマーケットに勝つのは難しく、これらの施設が持つ流通網や安定したサービスを個人で上回ることは困難です。
商店街の魅力は・・・キャラクターのある個人店舗が寄り合いながらプラットフォームを形成し、それが集客につながっている点です。
- 各店舗での経営方針の見直し
- 売上改善に向けた新しい施策の投入
- プロモーションの展開を推進する
などすることで、魅力的なお店が集まる活発な商店街へと生まれ変われます。
DXの推進
デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDX策の推進が必要でしょう。
テクノロジーの進歩は急速に加速しており、多くの企業や事業者がその対応に追われています。
商店街で小売業を営む事業者にとって、
注目すべき主なテクノロジーはキャッシュレス決済でしょう。
消費者は現金を用意する必要がなくなりますし、買い物の際の負担を軽減できるため、非常に利便性が高い技術として大いに受け入れられています。
事業者にとっても釣り銭の用意の必要がなく、現金を店先に置いておくセキュリティリスクを回避できるため、高齢化が進む商店街や地方都市でも導入効果は非常に大きくなることが期待できます。
DXの推進を妨げているのは、
- 手続きの複雑さ
- 運用の仕方が分からない
- 知識の共有がうまく行われていない
が主な原因と言えるでしょう。
DX推進のハードルをうまく引き下げることで、一気に商店街のハイテク化が進みます。
あるいはAIやIoTといった技術を活用し、ビッグデータ活用を商店街レベルで進め、更なる集客や地方創生につながる解決策の実現にも動くことができるでしょう。
コロナ禍を乗り越えるための解決策
新型コロナウイルスへの対応を考えることが必要です。
2019年まではインバウンド観光客の増加も相まって、日本各地の商店街が観光資源として大いに集客効果を発揮していました。
しかし今日では、海外からの観光客はほぼゼロとなり、日本国内の観光客の活動も以前に比べると鈍化しています。
観光資源以外の意味を商店街に付与しなければ、強力な持続可能性は見込めないでしょう。
後継者の育成
そして、後継者の育成が必要です。
全国の商店街が衰退の一途を辿っている大きな理由は下記です。
- 少子高齢化によって人口が減少し、地域の産業に従事する人が減っている
- 多くの若者が都会に流れ、地域に根付いた生活を選ぶ次世代人材が減少している
どれだけ現世代の人間が力を入れて商店街の活性化に力を入れても、その商店街の活気を引き継いでくれる人がいなければ、地域のプラットフォームとしての役割を果たすことができません。
地方創生の一環として商店街活性化をプロジェクトに据え、
- 後継者の育成や
- 後継者となり得る人材の移住をサポート
- 積極的に人口の多い地域とのコミュニケーションがとれる環境づくり
が必要です。
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
商店街の現状と商店街が今でも魅力的な理由について説明してきました。
商店街の活性化に必要な視点を活用して、若者が商店街を盛り上げていくことが効果的です。
若手・助成リーダー応援プログラム助成事業では、若者の開業支援を実施しています。
参考▶︎東京都中小企業振興社HP
対象者
・開業日(開店予定日)が、申請する回の交付決定日以降であること
・女性 or 令和6年3月31日時点で 39歳以下の男性であること
・「創業予定の個人」もしくは「個人事業主」であること
・申請予定店舗が「都内商店街」であること
・申請時点で都内に限らず実店舗を持っていないこと
・独創的な事業プランがある
・商店街を牽引できるリーダーとしての資質や商店街の活動に主体的に取り組む意欲がある
助成金額
申請手続きの流れ
申請の流れは下記の通りです。
出店予定地を決める
↓
どこの商店街に属しているか確認する
↓
商店街から出店の許可をとる
↓
工事の見積もりや図面作成・備品の選定など
↓
申請
↓
書類審査・面接
↓
採択結果発表・交付決定
↓
開業
最後に
商店街は衰退しつつありますが、
その価値は大いに注目され、活性化に向けた取り組みも全国で進められています。
商店街の活性化は、地方創生や人口の分散とも深く結びついており、積極的な取り組みが求められています。
助成金を活用して、商店街を盛り上げていきませんか?